2021-09-19

【株価はどう動く?菅下清廣氏に聞く】今後はデジタル関連、バイオメディカル関連の企業を注目すべき局面に

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長



日本の株価の行方をどう見るか


 ─ その中で、日本の株価の行方をどう見ますか。

 菅下 今申し上げた流れに乗って、日本の株価はいずれ上がり出します。日経平均は1989年12月末に付けた最高値・3万8195円を突破する、あるいはそれを目指す動きになると見通しています。

 今後、米中対立が激化すると、先進国のマネーはアメリカに集中しますし、現に今、そうなっています。アメリカはインフレになりつつあり、GDP(国内総生産)の成長率も6%を超え、金利も上がり始めています。

 しかし、アメリカの30年もの、10年ものの国債の金利は下がっています。なぜか。それは世界のマネーがアメリカに殺到して、米国債を購入しているからです。

 債券は価格が上がると利回りが低下しますから、今は債券高の株高となっています。これは今まで中国など新興国に向かっていたマネーがアメリカを目指していることを示しています。

 いずれ、アメリカに向かっているマネーの一部は日本に還流してきます。なぜなら、アメリカの次に安全で、株価が割安な国が日本だからです。

 ─ 世界の投資家が改めて日本を評価するようになる?

 菅下 ええ。安全に加えて、日本には技術があります。第2次世界大戦で焦土となった日本が、わずか半世紀で経済大国にまで上り詰めた理由は様々な分野における技術力です。

 もう一つ、日本には世界に冠たる良質な国民がいます。世界から比べて、その水準は信じられないくらいに高い。これは11年の東日本大震災でも証明されました。

 多くの人が帰宅困難になり、駅で寝泊まりしましたが、誰1人強奪する人はいませんでしたし、アメリカの空軍が三陸にヘリで物資を運んできた際にも、物資に殺到することなく、きちんと整列して待っていた。しかも、物資を全ては受け取らず「他に困っている人に配って下さい」と言ったそうです。

 これらは一つの例ですが、こうした日本が持つ徳、潜在力は、リーダーが適切な政策を取れば、全て顕在化してきます。

 ─ その意味で、政治家のリーダーシップが問われますね。

 菅下 そう思います。近年では安倍晋三首相は経済政策「アベノミクス」で日本経済を蘇らせ、デフレ状況から一歩脱出させました。

 日本の株価はアベノミクスが始まった時には8000円、18年には2万4000円と3倍になりました。それを継承した菅政権にもアベノミクスのような経済政策が求められましたが、残念ながら出ませんでした。

 ─ 日本の株価は8月末現在、足踏みが続いています。

 菅下 今、日本の株価がなぜ上がらないかというと、やはりコロナ感染拡大があるからです。誰もが実体経済がどんどん悪化していると感じています。今の相場は「コロナ本位制」です。ワクチン接種が進むアメリカの株価は上がっています。

 菅政権は遅くとも11月くらいまでにはワクチンが行き渡ると言っていますから、それが本当ならば株価は秋口から上がります。

 もう一つは日本の政治が、この後どう変わるか。秋口には選挙が行われる見通しですが、この選挙で誰が首相になり、どういう内閣が構成されるか。新内閣がデジタル産業革命を目指す政策や、米中対立の中で漁夫の利を得るような外交政策を打つことができるかどうかです。

 ─ 今後のデジタル産業革命の中で注目している企業は?

 菅下 やはり今までなかったようなサービス・商品を提供している新興成長企業です。例えば、ベネフィット・ワン(2412)、SHIFT(3697)、GMOペイメントゲートウェイ(3769)、ベクトル(6058)、ピアラ(7044)、Ubicomホールディングス(3937)などです。

 彼らが新たな技術革新の波に乗ることができるビジネスを生めるかです。デジタル、グリーン、バイオなどの分野から有望ベンチャー企業が日本にどれだけ出てくるか?特にIPO(新規株式公開)銘柄に期待しています。

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