2021-09-27

【政界】脱派閥? 世代交代? 絡む思惑 衆院選を控え、カギを握る党員票

イラスト・山田紳

※9月22日時点

決定的な候補者が不在で合従連衡の総裁選──。自民党総裁選びが9月17日告示―29日投開票となったが、乱戦模様の様相となっている。世論調査では河野太郎が人気で2番手に石破茂が続く。次いで岸田文雄がつけるが各候補者には一長一短があり、若手議員は「派閥政治からの脱却」の声が挙がる。合従連衡の探り合いが続く乱戦を潜り抜けるのは誰か?
人気投票の側面も

「新型コロナウイルス対策と(総裁選の)選挙活動を考えたとき、莫大なエネルギーが必要であり、両立はできない。どちらかに選択すべきである。国民の皆さんにお約束を何回もしている新型コロナウイルスの感染拡大防止に専念したい、そういう判断をした」

 自民党の9月3日の臨時役員会で総裁選不出馬を表明した菅は首相官邸に戻ると記者団に対し、厳しい表情のまま出馬しない理由について、そう語った。内閣支持率の降下傾向が続く中で「菅総裁で衆院選は戦えない」という党内の「菅離れ」が加速し、万策尽きての退陣だった。

 自民党内からは「自滅、自爆だ」「自民党を救う英断だ」など様々な声が漏れたが、感傷に浸るまもなく関心は総裁選の行方へと移った。

 総裁選には前政調会長の岸田文雄(64)=岸田派=や前総務相の高市早苗(60)=無派閥=が名乗りを上げ、規制改革担当相の河野太郎(58)=麻生派=や幹事長代行の野田聖子(61)=無派閥=らが出馬に意欲をみせている。

 過去に4度、総裁選に立候補した元幹事長の石破茂(64)=石破派=の対応も焦点となっており、総裁選は混戦模様だ。

 共同通信社の世論調査(4、5両日実施)によると、次の首相にふさわしい議員は、河野が31・9%でトップだった。石破26・6%、岸田18・8%と続き、野田(4・4%)は4位で高市(4・0%)が5位だった。

 読売新聞の世論調査(同日実施)も同じ傾向だ。河野(23%)▽石破(21%)▽岸田(12%)▽高市(3%)▽野田(2%)―となっている。

 今回の総裁選は、1人1票の国会議員票(衆院議員275人、参院議員108人)と党員・党友票(383票)の計766票で争われる。

 党員・党友票はそれぞれの候補の得票数に応じて「ドント方式」で配分される。今回は特に、衆院選が目前に迫っているため、「選挙の顔」を選ぶ意味合いが強い。

 衆院議員は少しでも自分の選挙に有利になるよう人気があり、勢いのある総裁を選ぼうという心理が働く。所属する衆院議員の半数近くを占める当選1~3回生議員は選挙基盤が弱いため、そうした傾向が強くなる。

 7日に党本部で開かれた衆院当選3回以下の議員の会合では、「長老政治、派閥主導ということを多く聞いてきた。われわれが党改革をやっていくことが重要だ」「永田町の理屈ではなく、議員、党員ひとりひとりの自主投票を担保するような総裁選にしてほしい」など党改革の必要性を訴える意見が上がった。

【人気エコノミストの提言】グリーン化は日本経済再生の起爆剤になる

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事