気になる党員票の行方
そうした中で、揺れているのが石破だ。
報道機関の世論調査では人気が高く、これまで常に「首相にふさわしい議員」の上位にランクされてきた。しかし、総裁選に4回挑戦し、党員・党友票で優位に立っても国会議員票が伸び悩んで苦杯を喫してきた。「今回、負ければ完全に終わってしまう」(中堅)との見方がもっぱらだ。
また、河野の出馬により党員・党友票を食い合うことになり、決選投票に残れるかどうか視界不良に陥っている。河野と共倒れになれば、不仲とされる安倍が推す高市らを利することにもなる。今回は「出るとも出ないとも言っていない。白紙だ」と慎重に情勢を見極めている。
石破派は17人の小所帯でありながら、河野を推す議員もおり、一枚岩になりきれていない。そのため「石破不出馬」「河野支持」との情報も流布された。国民人気のナンバー1とナンバー2の「河野・石破連合」を作れば、流れをつかむことができる。
だが、石破に対する党内の拒否反応は根強い。かつて宮沢喜一内閣への不信任案に賛成して離党したことが根底にあるとされ、安倍晋三政権時代に学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る公文書改ざん問題などについて、安倍を真正面から批判したことも「党内野党」という印象を与えた。
安倍らとの不仲は決定的とされ、流れ次第では安倍が所属した党内最大派閥の細田派などから距離を置かれる可能性がある。
【財務省】個人消費は2四半期ぶりプラスも コロナによる下振れを懸念