2021-09-30

【JERA】アジアの成長取り込みへ フィリピン大手電力に巨額出資

小野田 聡・JERA社長

取得金額は約1750億円 過去最大の海外投資


 

「再生可能エネルギーの開発などに取り組むと共に、フィリピンのエネルギーの安定供給と脱炭素化にチャレンジしていく」

 こう語るのは、東京電力ホールディングス傘下の東京電力フュエル&パワーと中部電力が共同出資するJERA社長の小野田聡氏。

 JERAがフィリピンの大手電力会社アボイティスパワーの発行済み株式約27%を取得する。取得金額は約15・8億米ドル(1750億円)。同社として過去最大の海外投資であり、フィリピンにおける日本企業の投資としても最大規模となる。

 近年、フィリピンでは経済成長が続いており、2030年までに年平均4・2%の電力需要の伸びが見込まれている。このため、電力インフラの整備が急務となっており、JERAは今後増大する電力需要に対応すべく出資を決めた。

 アボイティスパワーは、建設中を含めて約460万㌔㍗の発電所を保有しており、同国の約2割の電力供給を担っている。今後は再生可能エネルギーを中心に開発を進める予定で、2030年までに発電資産を920万㌔㍗まで拡大したい考えだ。

 小野田氏は「これは今後10年以内に約370万㌔㍗の再エネと、約100万㌔㍗の火力発電を開発するという野心的な目標。現地の有力企業と手を組み、スピーディーかつ効果的に脱炭素化を進めていきたい」と語る。

 東電と中電の火力発電事業を統合して発足したJERAは、日本国内の発電電力量の約3割を担う日本最大の発電会社。しかし、国内は人口減少時代に入り、黙っていてはジリ貧。また、近年は世界中で脱炭素化の流れが加速し、発電時にCO2(二酸化炭素)を排出しないエネルギーの開発が求められている。

 そうした中での、今回のフィリピン企業への出資。海外の旺盛な電力需要を取り込み、新たな成長を図ることはできるか。

国内電力の約3割を担うJERAが脱炭素化を進める意味

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