2021-10-19

コロナ禍でも新市場創出!【GMOインターネットグループ代表・熊谷正寿】の「より多くの人に、より良いインターネットを!」

GMOインターネットグループ代表 熊谷正寿

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時価総額で親子逆転の局面も…

 熊谷氏は1963年(昭和38年)7月生まれの58歳。1991年5月、27歳の時に創業、今年で30周年である。インターネット事業を開始したのが、インターネット元年とされる1995年(平成7年)だから、26年が経つ。もっとも、同事業に本格参入する2、3年前に準備を始めていたから、28年~29年と30年近い関わりになる。

 今や株式上場会社はグループ内で、中核のGMOインターネットをはじめ10社にのぼる。
 GMOフィナンシャルホールディングス(金融持ち株会社)、GMOペイメントゲートウェイ(消費者向けEC=電子商取引=業者に対しての決済処理サービス)、そしてGMOTECH(集客支援)、GMOメディア(広告メディア)、GMOリサーチ(マーケティング調査プラットフォームを提供)、さらにGMOグローバルサイン・ホールディングス(クラウド・セキュリティ事業や電子印鑑サービスなど)といった合計10社である。

 中核のGMOインターネットは1991年5月の設立で、1999年8月に株式を上場。最初は店頭公開(今の東証JASDAQ)、2005年東証1部上場という足取りで、設立から8年後に株式を公開。
 中には、総合ネット広告代理店のGMOアドパートナーズ(現JASDAQ)のように、1999年9月に設立、1年後の2000年9月に株式上場というところもある。

 インターネット事業は競争が激しく、1位のシェアを取らなければ敗者になると言われる位の厳しい仕事。常に競争相手に対し優位性を持たないと、劣後し、事業も廃れていくという中で、緊張感が要求される。

 しかし、技術的な優勢があれば、短期間に成長する。

 そうしたインターネット事業の成長性を象徴するのがGMOペイメントゲートウェイの快進撃。EC(電子商取引)などでの決済代行や『後払い』サービスなどの金融関連で好業績をあげる。
 ネット通販の高まりなど、ECはコロナ危機下で需要が急増。巣ごもり需要で、日用品の物販や動画配信、公共料金の支払いなどでEC利用が増加。その決済を代行する同社も急成長。
 2021年9月期は、売上高約400億円(20年9月期は330億円)で営業利益130億円(同103億円)、純利益80億円(同76億円)という見通し。

 同社の開発した〝スマホSMS経由〟の電気代決済システムは昨秋から東京電力で採用されるなど、公共料金の領域に浸透。
 また、消費者が手元不如意で、商品を購入する際に、『後払い』ができる決済システムも開発。こうしたサービスが特に若い世代に受けている。

 消費市場でのEC比率は8%程度とされ、まだ事業の伸び代は大きい。決済代行の市場は現在500兆円とされ、2025年には約600兆円に拡大成長するという予測。
 9月21日現在の同社の時価総額は約1兆1545億円。これに対し、親会社のGMOインターネットのそれは約3300億円と3倍以上の差になっている。

 こうしたグループ内の出来事も含めて、熊谷氏は歴史上の過去の産業革命と関連付けて、次のように語る。

「(これまでの)産業革命は大体平均すると、55年続くんです。わたしたちは26年目ですから、まあ24時間に例えると、ランチ位の感じ。美味しいディナーはまだこれからという感じです」

 インターネット活用による新技術・新市場開発で、「価値ある事業を上場させていく」と熊谷氏。


スマホ一つで済む世界へ仮想資産の活用も

「スマホ一つで済む世界というのを、全世界の人たちが心の中で求めていると思うんです」

 熊谷氏は、〝スマホ一つで済む〟がわたしたちの生き方・働き方を根本から変えると語る。
「財布の中に入っているクレジットカード、そして名刺の両方とも無くていいと思うんですよ。ポケットの中にある小銭とお札、これも無くて済みます。その解決の1つになる、解決のきっかけになり得るのが、このブロックチェーンテクノロジーだと思っています。そういう思いで、今から6、7年位前に、仮想資産に取り組み始めました。その時の思いは正しくて、今、さまざまな仮想資産が多くの方に受け入れられていますよね」

 仮想資産─。ここ数年、〝仮想通貨〟という言葉が使われてきていたが、熊谷氏は仮想資産という言い方をする。暗号資産という言葉も使われる。
 仮想資産(仮想通貨)はインターネット上でやり取りができる財産的価値で、『資金決済に関する法律』で、〝不特定の者に対して、代金支払い等で使用できる〟、〝電子的に記録され、移転できる〟、〝法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない〟─と定義されている。

〝ビットコイン〟や〝イーサリアム〟がその代表的なもので、日本でも金融庁が認可した交換所で取引され、約20種の通貨がある。

 この仮想資産は、法定通貨のように裏付け資産を持っておらず、利用者の需給関係で価値が大きく変動することがあるというのが難点だ。

「はい、仮想資産の最大の問題というのは、価値が大きく変動していくことです」

 熊谷氏は価値変動の点を認めつつ、「これはこれで金の代わりとしては有効なんです」と強調、「ただ、通貨の代わりとしては変動し過ぎるので、ステーブルコインというのが必要です」と語る。

 大きな価値変動をなくし、安定的にするには、どんな工夫が必要なのか?

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本誌主幹 村田博文

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