2021-10-11

【政界】11月中の総選挙で問われる新政権が掲げる新しい「国のカタチ」

イラスト・山田紳



立憲「報道は不公正」

 首相指名選挙を行う臨時国会は10月4日に召集され、新首相が決まる。総裁選の4候補は、所信表明とそれに対する各党代表質問を終えた後に衆院選に臨むべきだという見解で一致しており、投開票日は衆院議員の任期(10月21日)を超えた11月7日か
14日が有力だ。

 それに先立つ10月30、31両日には主要20カ国首脳会議(G20サミット)がイタリアで開催され、新首相が外交デビューする。国内では新型コロナの新規感染者数が9月に入って目に見えて減り始めた。自民党にとっては願ってもない展開で、同党幹部
は「菅さんの最後の功績だ」と喜ぶ。

「菅首相のままで衆院選になって欲しい」と敵失に期待していた野党は、がらりと局面が変わったことに慌てている。当初、コップよりも小さいおちょこの中の争いでしかない」(共産党書記局長の小池晃)と酷評していた総裁選は、自民党の「派閥隠し」で勝敗が見えにくくなったせいで、皮肉にも9月29日の投開票日まで世間の関心を引いた。

 立憲民主党国対委員長の安住淳は総裁選中、「テレビ報道や情報ワイド番組が自民党一色になっている。場合によってはBPO(放送倫理・番組向上機構)への対応を考えなければならない。総選挙を控えているという状況をまったく理解していない」といらだちを隠さなかった。

 同党は9月21日、アベノミクスについて「強い者をさらに強くしただけに終わり、格差や貧困の問題の改善にはつながらなかった」との検証結果を発表した。衆院選では時限的な消費税減税などを訴える方針だが、巻き返しの時間はそう多くない。共産党など野党間の選挙協力態勢の構築も急務だ。

 先に紹介した毎日新聞の世論調査では、無党派層の7割が衆院選比例代表の投票先をまだ決めていないと答えた。無党派層が与野党のどちらに傾くかで、選挙結果は大きく変わる。

 総裁交代で自民党の狙いは的中し、「これで衆院選は安泰」(幹部)という声すら聞こえてくるが、ここで慢心すれば「ご祝儀相場」の効果は意外に早くはげ落ちるかもしれない。(敬称略)

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