2022-02-17

【厚生労働省】診療報酬改定は4回連続マイナスに

写真はイメージ

2022年度予算編成で焦点となっていた診療報酬改定について政府は全体で0・94%引き下げることを決めた。全体のマイナス改定は4回連続だが、医師や看護師らの人件費などに当たる「本体」部分は0・43%のプラスを維持。今夏に参院選を控える中、支持団体の日本医師会にも配慮する形で決着した。

 今回は新型コロナの感染拡大後初の診療報酬改定で、新型コロナの影響をどう本体の改定率に反映させるかが大きな焦点だった。昨年11月に公表された20年度の医療経済実態調査では、受診控えなどで一般病院の経営が悪化し、コロナ関連の補助金でかろうじて黒字を確保したことが判明。日本医師会は「医療現場は新型コロナの対応で著しく疲弊している。躊躇なくプラス改定にすべきだ」(中川俊男会長)と強く訴えた。

 財務省が「補助金で経営実態は近年になく好調」として本体部分の引き下げを主張する中、自民党厚労族の議員らは「夏には参院選が控えており、医師会への配慮が必要」と首相に直談判。最終的には岸田文雄首相が仲介することで、焦点だった本体は0・43%のプラスに落ち着いた。

 今回の診療報酬改定は、そもそも伊吹文明氏ら厚労族の重鎮議員の相次ぐ引退や、日本医師会の会長交代で当初から交渉の先行きを不安視する声が省内では強かった。さらに菅義偉前首相が打ち出した不妊治療への保険適用拡大や看護職への処遇改善を診療報酬で対応する必要があり、議論をより複雑にした。

 こうした経緯もあったため、厚労関係議員はおおむね「よく押し戻した」と評価。ただ、別の議員からは「前回まではいろいろな意見があっても最後は麻生太郎前財務相がうまくまとめてくれていた。そういう意味では、今回は調整役がいなかった」との声も。各方面の調整に当たった厚労省のある幹部は「これまでで最高難度の報酬改定だった」と話しており、担当者には厳しい交渉だったようだ。

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