2021-01-12

東京ガス・内田高史社長が語る「4つのD」とは?

内田高史・東京ガス社長

── まさに世界中でエネルギーの大変革の波が起きていますが、東京ガス社長の内田高史さん、世界中で脱炭素社会の実現に向けた動きが加速していますね。

 内田 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、社会や経済の多くのパラダイムが変わりました。特にグリーンリカバリー、気候変動への対応があらゆる企業に求められるようになり、グリーン社会に向かっていかないと企業は成長できない時代になったと思います。

 そうした時代認識の中で、私は四つの「D」が大事だと思います。一つは「De-carbonization」(脱炭素)への対応。二つ目が「Digitalization」(デジタル化)、三つ目は価値観が多様化する「Diversification」、最後が「Deregulation」(規制緩和)への対応です。今後これら四つのDがさらに加速していくと考えます。

 ── 東京ガスは2019年11月に、長期経営ビジョン『Compass2030』で、2050年頃を見据えて「CO2ネット・ゼロ」を目指す方針を打ち出していましたね。

 内田 ええ。持続可能な社会を築いていくために当社が取り組んでいるのは、一つは再生可能エネルギーへの投資です。

 我々は米国テキサス州で最大出力63万㌔㍗の大規模太陽光発電事業に参画する他、国内では富山県と千葉県で木質バイオマス発電事業を進めています。今後も脱炭素化の実現に向け、グリーン投資を加速していく考えです。

 もう一つは、エネルギーの脱炭素化を進めていくこと。その一つがCO2を排出しないクリーンエネルギーである水素の製造や利用に関する技術開発です。現状では水素を製造するコストがまだまだ高いということが大きな課題ですが、当社は水素の製造コストを下げるための技術開発を担う専門部署を2021年春に立ち上げる予定です。

 ── 具体的に、すでにエネルギーの脱炭素化の実現に向けて取り組んでいることはありますか。

 内田 現在、我々が開発を進めているのが、お客さま先において、天然ガスを燃焼した際に発生するCO2を分離回収して利用・貯留(CCUS)する技術です。将来的には再生エネルギーから製造した水素と発電所などから回収したCO2を合成し、実質的にカーボンニュートラルのメタンを製造・供給していきたいと考えています。

 このようにして製造したメタンは、現在の都市ガスと成分が非常に近いことから、海外のLNG(液化天然ガス)の輸出基地、LNGを運ぶ運搬船、国内の受け入れ設備、パイプライン、そしてその先にあるガス機器等、既存のインフラを全て有効利用でき、脱炭素化やエネルギーの多様化に貢献できます。その実現に向け積極的に取り組んでまいります。

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