2022-08-24

『創業130周年』日本最古の信用調査会社として 東京商工リサーチ社長・河原 光雄

「当社は明治期の殖産興業の時代に、企業の設立や取引が活発化して、信用調査が必要となったことで創業した会社。現在は海外企業を含め、世界約4億8775万社の企業情報を網羅したデータベースが最大の強みになっている」

 日本で最初の企業年鑑を発行するなど、日本最古の信用調査会社として知られる東京商工リサーチ。1892年(明治25年)の創業から、今年8月で130周年の節目を迎えた。同社は正式な法律用語ではない“倒産”という言葉を世に広めたことでも知られ、今では企業倒産は景気を測る代表的な統計指標の一つとなっている。

 足元では長期化するコロナ禍の影響や急激な円安、そして、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてエネルギーや食糧などの原材料価格が高騰しており、日本企業を取り巻く経営環境は厳しい。それでも、今年上半期の企業倒産は低水準、飲食業の倒産は過去20年で最少だという。

「今まではコロナ禍での政府の各支援策が効いており、倒産の数自体はリーマンショックから減り続けている。ただ、今年4~6月は3カ月連続で倒産が増加。融資の返済が本格的に始まるのはこれからで、今後の動向を注視している。また、運輸や住宅関連など、原材料価格の上昇に対し、価格転嫁できない下請けや中小企業などの倒産が今後増える可能性がある」

 同社の2022年3月期の業績は、売上高222億円、経常利益43億円と、7期連続の増収増益。信用調査会社や格付け会社は多数存在するが、全国約80拠点の調査員が企業を直接取材。足で稼いだデータをいち早くデータベース化できたことが、今日の成長につながっている。

「データを集め、正確な情報をタイムリーにお届けすることがわれわれの使命。それに加え、これからはデータを基にした分析や市場調査などの付加価値をつけていく。売上の追求ではなく、まず、あるべきはお客様の満足度をいかに上げていくか。この原点を忘れず、今後も企業活動の活性化に向けたサポートを続けていく」

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