2022-10-28

【クラウドソーシングの先駆け】ランサーズ・秋好陽介社長CEO「新しい働き方のプラットフォームを創る!」

秋好陽介・ランサーズ社長CEO

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この数年、業界内では淘汰が進んで…


 我々は、オンラインで優秀な個人の事業主・フリーランスと企業をマッチングし、一緒に仕事をしてもらう「クラウドソーシング」サービスを展開しています。

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 このコロナ禍は様々な面で、当社の事業に影響がありました。コロナ前、企業は会って仕事をすることが当然でした。どんなにフリーランスの方の経歴が素晴らしくても、オンラインだけでは不安で、そこに対する説明コストがかかっていたのです。

 それがコロナ禍によって、オンラインで仕事をすることが普通になりました。我々ランサーズにとって当たり前だったことが、ようやく世の中にとっても当たり前になったわけです。

 他にも、個人の優秀な方にとっては通勤時間がなくなって可処分時間が増え、仕事の先行きに不安を抱える中、副業を選択する事例が増えました。

 企業、特に地方の中小企業にとっても、既存の販路が先細る中、ネット販売が必要になりましたが、社内にノウハウがない。それを探す中で我々のサービスへの注目度が高まりました。

 一方、我々のサービスは大企業の新規事業で活用してもらうことも多いのですが、コロナ禍で本業がどうなるかわからない状況下で、多くの新規事業プロジェクトが止まり、我々への発注も一時減少しました。

 我々は2008年に日本で初めてフリーランスと企業のジョブマッチングサービス、いわゆる「クラウドソーシング」のサービスを始めた会社ですが、その後上場、未上場にかかわらず、200社程度の企業が手掛けた時期がありました。しかし今は淘汰され、両手で数えられるくらいの会社数に絞られました。

 我々の強みは、優秀なコンサルタント、エンジニア、デザイナーなど、高いスキルを持った個人が実名顔出しで登録していることが多く、他社に比べて1人当たりの報酬単価が高いことです。

 始めた当初は顔の見えない不特定多数に依頼する「クラウドソーシング」のサービスでしたが、現在は信頼できる特定の個人に企業が依頼するサービスになっています。

 安く請けるような仕事ではなく、一定のクオリティの仕事を、企業よりもリーズナブルな価格で提供できるのです。

本業と副業の境界が低く


 当社はこの3年間、投資先行で経営を進めてきました。業界内で企業の淘汰が進んだ中、その選択は正しかったと考えていますが、足元の経済状況を受けて、資本市場はより黒字体質企業へのニーズを強めているのも確かです。今後は利益を出しつつ成長を続けるフェーズに入っていこうと考えています。

 日本は人口減少が続き、労働人口の増加は見込みづらい状況です。その中で1人が2つの仕事を持てば、のべ労働人口は2人になるわけです。ですから副業は今後、より一層重要になると考えています。

 さらに、今後最も成長が期待されるのがIT業界ですが、人材が不足しています。ですから各社が囲い込むのではなく、技術を持った1人の方が複数の会社で働く方が、お互いにとってもプラスではないかと思います。

 確実に社会の価値観は変わり始めています。複数の企業で、どこにいても働けるという人が増えれば、本業と副業の境界が低くなっていくでしょう。

 ただ、新しい働き方はすぐに定着するものでもありません。「派遣」も定着まで約40年かかっています。今後も時間をかけて、社会に新しい働き方、パートナーシップをつくるためのプラットフォームとして進化していきたいと思います。


PROFILE
あきよし・ようすけ
1981年1月大阪府生まれ。大学在学中にインターネット関連ビジネスで起業。卒業後の2005年にニフティ入社、ITサービスの企画・開発を担当。08年リート(現ランサーズ)を設立、代表取締役社長に就任。19年12月東証マザーズ市場(現グロース市場)に上場。

撮影=野口 岳彦

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