2023-02-04

初の国鉄民営化後の入社組 【JR東海】次期社長に丹羽副社長

丹羽 俊介氏

「経営体力の再強化のベースとなる人材育成に力を注ぎたいと思っている。社員に求める能力としては、勤勉性やチームワークの良さなどに加え、柔軟な発想、チャレンジ精神、粘り強く物事を進められる力などが大切だと考えている」─。JR東海次期社長に決まった副社長の丹羽俊介氏(57)はこう語る。

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 5年ぶりとなった同社の社長交代。丹羽氏は87年の国鉄分割民営化後の入社でJR本州3社の中で初めて国鉄民営化を経験していない社長となる。現社長の金子慎氏(67)は代表権のある会長に、現会長の柘植康英氏(69)は取締役相談役に就く。

 昨年10月に同社は10~15年かけてコストを単体で800億円削減する業務改革を推進し、新しい発想で収益の拡大を実現することを目標とした経営体力の再強化策を打ち出した。この取りまとめにリーダーシップを発揮したのが丹羽氏だった。

 丹羽氏は広報や人事といった部署を渡り歩き、同社にとっての〝登竜門〟と呼ばれる総合企画本部長も歴任した。同役職は昨年死去した葛西敬之氏をはじめ、元社長の山田佳臣氏や金子氏も経験してきた役職になる。

 実際、コロナ禍で行動制限が出され、予約数や利用者数が激減する中、「総合企画本部長として会社の将来のあり方を模索した経験が今の自分の原点」と振り返った上で、「このままではダメだと考えたのが自分の仕事の原動力」と丹羽氏は語る。

 一方の金子氏は社内の業務研究のレベルアップを図るなど経営改善に努めてきたが、「大変心残り」なのがリニア中央新幹線の開業見通しが立っていないままの交代となった点だ。2027年のリニア開業を目指すが、依然として静岡工区で着工ができておらず、遅れる見通しが強まっている。

 丹羽氏は座右の銘に「自然体」を挙げる。「物事に向かうときには、気負うことなく、背伸びすることもなく、自然な構えで臨みたい」。22年に国鉄民営化35年を迎え、JR東海も変革期に直面する。営業利益の6割超を新幹線に依存する中での新事業の創造に加え、リニアという国家的事業の実現など丹羽氏の手腕が問われることになる。

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