リクルートは「中小企業」「人材マッチング市場のグローバルリーダーへの展開を加速するために、新社長にバトンタッチすることが最適だと考えた」
リクルートホールディングスが社長交代を発表した。4月1日付で社長兼CEOの峰岸真澄氏は会長兼取締役会議長となり、次期社長には、取締役副社長執行役員兼COOの出木場久征(いでこば・ひさゆき)氏が就任する。
2012年社長に就任した峰岸氏は、国内企業だったリクルートHDを「グローバルテクノロジーカンパニー」に進化させ、海外売上比率を45%まで拡大した。
また、14年には「株式を上場」し、ガバナンス改革を進めてきた。
上場時1・8兆円だった時価総額は現在7兆円を超える。
市場の評価は、求人情報に特化した検索エンジン『indeed』、米求人関連の口コミサイト『Glassdoor』の買収など、グローバルIT企業の一角を占める存在になったことが大きい。
この海外事業の成長を牽引してきたのが出木場氏。社長人事発表翌日、リクルートHDの株価は2・1%高となるなど、市場からの期待も高い。
峰岸氏も「indeed の買収をリードし、買収後はCEOとして成長を牽引。今は副社長兼COOとしてグループ全体の変革を推進。
海外事業を担当する前は、国内事業でテクノロジーを活用してビジネスモデルを変革した実績がある」と評価する。
出木場氏は1975年生まれの45歳。早稲田大学商学部卒業後、リクルートに入社。12年執行役員、13年indeed CEO、16年常務執行役員、18年専務執行役員となり、事業本部のCOOとして全事業を管掌。19年取締役、20年4月副社長執行役員COOに就任。
会見では、過去10年間、世界のテクノロジー業界で戦ってきた経験から「リクルートは中小企業」という認識を示し、「彼ら(GAFAM)が思い付かないような工夫、彼らがやりたがらない泥臭い努力を重ねて戦っていきたい」と思いを述べた10年前と異なり、成功事例の蓄積で海外での知名度も付いた今、M&Aに加え、国内外で蓄積されたデータの活用で、新たな価値創出に意欲を見せる。
日本IT企業は、GAFAMにどう対抗するか?