2023-07-07

【経済産業省】 米IT大手の寡占に新規制 アプリ市場の開放義務付け

政府は、スマートフォンの基本ソフト(OS)市場を寡占する米アップルと米グーグルに対する新たな規制に乗り出す。ユーザーがアプリ入手時に使うアプリストアについて他社の参入を認めるように義務付けるのが柱。従来の独禁法による対応では限界があるため、競争を阻害する禁止行為をあらかじめ明示する「事前規制」を導入する。

 6月16日に開いた「デジタル市場競争会議」(議長・松野博一官房長官)が新たな規制案をまとめた。来年の通常国会への法案提出を目指す。

 スマホOSは、アップルの「iOS」とグーグルの「アンドロイド」が市場をほぼ二分。事前規制によって、支配的な立場にある両社が自社サービスを優遇して他社サービスを差別的に扱わないようにする。

 アプリストアを巡っては、アップルは自社の「アップストア」以外からのダウンロードを認めていない。グーグルは他社のアプリストアも容認しているが、アプリの97%は同社の「グーグルプレイ」経由で入手されており、独占状態にある。

 さらに両社は、アプリ内での課金に自社の決済システムの利用しか認めていない。アプリ開発・運営事業者は決済時に売り上げの最大30%の手数料を支払う必要があり、負担が大きいとの不満が出ていた。

 このため規制案は、セキュリティーやプライバシーが十分に保護されている場合には、他社のアプリストアの利用を開放させる。自社の決済システム利用の義務付けも禁止し、多様な決済手段を選択できるようにして手数料の引き下げを促す。

 技術革新のスピードが速いデジタル市場では、違反行為の立証に時間が掛かる独禁法による「事後規制」では追いついていけないのが実情だ。

 巨大IT企業への事前規制は欧州連合(EU)が先行。自社サービスの利用強制といった禁止行為を明示した「デジタル市場法」が今年5月に施行された。日本も追随することになるが、アップルは「利用者のセキュリティーを保護するアップルの力を危険にさらすことになる」と強く反発している。

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