2023-07-19

【総務省】 BS配信予算を無断計上 NHKが再発防止の委員会を設置

NHKの2023年度予算・事業計画に、不適切な内部手続きで盛り込まれた支出項目があったことが判明した。現行ルールでは実施できないBS番組のインターネット配信を名目とした支出が含まれていたもので、NHKは「内部統制上、問題がないとは言えない」として、弁護士らによる専門委員会を設置し、再発防止策を議論すると発表した。

 松本剛明総務相は、NHKが総務相の認可を受けずに、衛星放送の同時配信を仮に行ったとすれば、放送法違反になるとの認識を示した上で、「これからも適切に放送法に則って運営をしていただきたい」と苦言を呈した。NHKの稲葉延雄会長は「重く受け止めている。誠に申し訳ない」と謝罪した。

 放送法では、ネット事業は放送を補完する任意業務と位置付けられている。その範囲は総務相が認可する実施基準で決まっており、現行の基準では、同時配信サービス「NHKプラス」は地上波が対象。BSでも実施するには、基準の変更が必要となる。

 NHKによると、BS番組の配信を名目とした設備投資などの費用として約9億円が23年度予算に計上された。理事会には諮られず、一部の役員らによる稟議で決まった。

 予算が国会承認された後の4月に稲葉延雄会長の指示で内部調査を実施。すでに契約・開発に着手していたが、支払いが行われる前だったため、予算の執行停止と支出名目の変更を行い、法令違反を回避した。

 予算が執行されていれば、放送法が禁じる目的外支出に該当した恐れがあり、日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長は「NHKの内部統制には問題がある」と批判している。

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