2023-08-15

【日産】北米でテスラの充電規格を採用 テスラがプラットフォーマーへ

テスラ規格の急速充電器が存在感を高めている

日本の充電規格にも影響?

 電気自動車(EV)の最大手・米テスラが自動車業界のプラットフォーマーになろうとしている。日産自動車が米国でのEVの急速充電規格について、25年からテスラが独自に開発した方式を採用すると発表したからだ。

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 自動車業界に詳しいアナリストは指摘する。「テスラの充電器で充電すれば、充電にまつわるデータをはじめ、EVの走行情報などがテスラに集まる可能性がある」。テスラの充電器が使われれば使われるほど、テスラは他社のクルマの情報を吸い上げることができるというわけだ。走行情報などは自動運転などの精度向上にもつながるため、クルマの差別化に寄与する。

 日産に限らず、テスラの急速充電規格「NACS」を採用する動きは出ている。米ゼネラル・モーターズやフォード・モーター、独メルセデス・ベンツグループなどは採用を表明し、独フォルクスワーゲンも検討だ。日系メーカーは「静観する」との姿勢だが、日産に追随する可能性はある。

 一方の日産は「EVユーザーは、利用可能な急速充電器が数千台以上増えることで充電の利便性が高まり、より安心して長距離ドライブを楽しむことができる」と表明し、24年以降に北米で販売するEV「アリア」にNACSに対応した充電アダプタを提供。25年以降は北米向けに生産するEVすべてにNACS用の充電口も搭載する。

 テスラは既に北米内で1万2000基以上のNACSを展開しており、シェアは約6割に達する。「事実上、急速充電規格の標準になりつつある」(同)。現段階ではNACSが主導権を握っているのは北米だけだが、NACSとは異なる充電規格を採用する欧州や日本での充電規格の争いにも影響をもたらすことは否定できない。

 日本では日本勢が主導してきた「CHAdeMO」が9割以上の普及率を示しているが、実はこの旗振り役が日産。チャデモ協議会の事務局長にも自社の社員を派遣していた。

 販売台数ではトヨタ自動車の約8分の1のテスラ。しかし、時価総額は約3.5倍。テスラのプラットフォーマーとしての側面が機関投資家を惹きつける。

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