日本国内で貧富の差が激しくなってきた
─ 日本は国力が低下し、1人当たり国内総生産(GDP)は30位まで低下したわけですが、森本さんは日本の針路をどう考えていきますか。
森本 株価は上がっているが、国民に豊かさの実感がない。円安でインバウンド(訪日観光客)が日本に大勢やってくるのは良いことだけれども、諸々の物価が上がって、経営者も苦しんでいるし、国民の所得が上がらないわけです。
だから、外国からの訪問客は日本が安いと言って喜んでいるけど、日本人が海外に出ようとしなくなった。日本国内で貧富の差が激しくなってきたことも心配です。大学でも学費の滞納者が多くなっています。
─ これはどこから手を付けていけばいいですか。
森本 やはり、日本の針路を考える時に、このままでいいのだろうかと疑問に思うのは教育ですね。
大学内を見ていると、学生は自分と価値観の合う特定の友人としか付き合わず、あらゆる情報をインターネットで集め、どこかの大企業に就職することだけを念頭に日々を過ごしている。新卒で入った会社も3年ほどで3割以上が辞めるというので、すごい悪循環なんです。
ということは、今の若い人たちにとって、これから自分がどうやって、社会の中で生きていくかということについて目標が弱いのだと思います。