累計ダウンロード数は200万を突破
「携帯のアプリを起動したら、設定がすぐに完了し、ワンスライドでタクシーを捕まえることができるのを、顧客体験の一丁目一番地にしている。タクシー事業者と一緒に、ユーザーの新しい乗車体験をつくりあげていくことができれば」
こう語るのは、タクシー配車アプリ『S.RIDE(エスライド)』の開発を手掛けるS.RIDE社長の橋本洋平氏。
S.RIDEは首都圏を中心に9都府県でサービスを提供。配車ごとにタクシー会社から得られる手数料収入や車内のタブレット端末を通じた広告収入、有料会員の課金などが主なビジネスモデルとなる。すでに約1万8千台、東京都内では約1万2千台が同アプリに対応。実に都内で走るタクシーの3台に1台がS.RIDEだ。
提携先のタクシー会社はグリーンキャブや国際自動車、寿交通、大和自動車交通、チェッカーキャブなど様々。タクシー会社は個々の会社の枠を越えて配車サービスを活用することで、タクシーを利用したい顧客が必要な時に必要な台数のタクシーを用意できるという仕組み。
「アプリの使いやすさは強みだと思っていて、半分くらいがヘビーユーザー。リピート率が高く、月10回以上のヘビーユーザーが多いのも特徴」(橋本氏)
今年6月から8月まで3カ月連続で過去最多の月間配車件数を更新。1年前と比べて、配車件数は約2.1倍、予約数は約2.4倍に増加。累計ダウンロード数は200万を突破した。
もっとも、近年はタクシーアプリが乱立。日本交通ホールディングスとディー・エヌ・エーが事業統合した『GO』を始め、米ウーバーや中国『DiDi』など、様々なアプリが登場している。特に国内で先行する『GO』は、すでに累計ダウンロード数は1500万を突破。全国44都道府県でサービスを展開している。それに比べて、S.RIDEの200万ダウンロードはまだまだ規模が小さい。
それでも橋本氏は「ユーザーが増えすぎて空車を取り合って、全然捕まらないのでは意味が無いので、供給台数に見合った需要をとっていって、呼んだら捕まるという体制を維持したいと考えている。無理に需要を増やすのではなく、サービスレベルを見ながらユーザーの数も増やしていければ」と話す。