2023-10-19

日本産業推進機構社長・津坂純の「世界から見た今の日本は輝いている」

津坂純・日本産業推進機構社長

投資ファンドから見た日本の可能性



 ─ ウクライナ危機や米中対立など、世界で分断が進んでいると言われているんですが、現在の日本の経済環境をどのように受け止めていますか。

 津坂 日本は失われた20年、30年と言われ、一時は経済的にも政治的にも世界的に存在感が低下していました。それが2012年末に第二次安倍内閣が誕生してから、確実に10年かけて日本の存在感を取り戻してきました。

 具体的にGDP(国内総生産)は2012年の500兆円台から直近で約560兆円となり、過去最高となりました。増額分の60兆円はシンガポールのGDPと同じ経済規模です。その上、この期間、株式市場も210%上昇していました。この様な経済の勢いが日本のグローバルの舞台での存在感に繋がり、日本の経済、社会、環境の活性化と国民の豊かさを可能にしている資源だと思います。

 そういう意味では、失業率も2%に留まっていて、世界が政治経済面で悲鳴を上げている中でも、日本はとてもいい立場にいるのではないかと思います。

 ─ 期待の持てる状況で、もっと潜在力を発揮すべきだと。

 津坂 そう思います。やはり、コロナ、円安、原材料価格の上昇、対中国の「デリスキング(de-risking、リスク軽減)」など、本当に不安要素が多い世の中ですが、世界から見た今の日本は輝いている星の存在と言っても過言ではないです。

 というのも、米中問題などの地政学的な観点から、多大な資金を動かす世界の機関投資家の注目は中国から日本を含む他地域へ移ってきています。その一例が、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による日本の総合商社への投資だと思います。

 この20年間中国に流れていた世界の財務資産も新たな投資先を必要として、一部の投資家が直近の10年間の日本経済と投資環境を評価して、日本に積極的に目を向けています。これは日本経済にとって膨大な影響を及ぼすメガトレンドになるのではないかと思われています。

 日本に入ってくる財務資産は直接日本の成長に繋がるからです。今までの10年で築かれたGDPで表す日本の560兆円の経済基盤が、次の10年、20年に大きな飛躍を起こすための土台になっています。

 国民の生活水準、環境の維持、先端技術への投資、教育と医療の充実なども強固で成長する経済基盤があってこそ可能となります。そう考えると世界的には不安定な状況が続いていますが、世界の投資家にとって、日本は魅力的な市場だと評価されています。国内の投資家もこの30年近い投資の機会損失を取り戻す時期が来たとも思われます。

続きは本誌で

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