2024-02-11

【ずいひつ】ケップルグループ・神先孝裕代表取締役CEOが語る「スタートアップの成長を支える「セカンダリー市場」の形成を」

国内の若きスタートアップ企業をいかに育てるか─。大手監査法人で公認会計士をしていた私がスタートアップエコシステムの発展に貢献するため、起業家・投資家向け支援サービスを提供する当社を創業したのは2015年のこと。

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 当時、会計士として数々のスタートアップと顧問契約をしていたのですが、自分よりも若い青年が社会課題の解決を本気で目指し、リスクを抱えながらも挑戦している姿に衝撃を受けました。一方で、会計士は労働集約型の業務が多く、このままでは成長を続けるスタートアップ市場に対して支援の手が行き届かなくなると感じ、まず投資業務効率化のための未上場株式管理ツール「KEPPLE CRM」を開発しました。その後、スタートアップデータベース「KEPPLE DB」やファンド運営支援、自社でベンチャーキャピタル(VC)の運営も始め、支援を拡大しています。

 いま、国内のスタートアップ市場は投資金額が年間9000億円規模へと急速に拡大しています。ところが、ユニコーン企業の少なさや小型IPOといった課題も抱えています。この要因の1つは、VCのファンド満期などの時間の制約により、投資家がスタートアップに早期のIPOを迫らざるを得ないケースがあるということです。

 実は国内スタートアップに投資するファンドは13年頃から急増し、その金額もこの10年の累計で数兆円を超えます。そして、これらのファンドの運用期間は一般的に10年です。つまり、2023年以降、ファンドに出資した投資家への償還金を迫られるVCが続々と出始めているのです。これに伴い、投資家には新たな出口戦略が、スタートアップにはさらなる飛躍に向けた次なる資金の出し手が求められるようになります。

 そこで需要が高まっているのが、既存株主から未上場株式を買い取るセカンダリー取引です。欧米では既にその市場が形成されていますが、国内ではまだ確立されていません。

 そのような中、当社はセカンダリー取引に特化した「ケップルリクイディティファンド」の運営により、セカンダリー市場の活性化を促し、課題解決に寄与できると考えています。未上場株式の現金化は、VCのみならず、大企業などのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)でも強いニーズがあります。

 政策による後押しもあり、自社にはない技術やサービスを獲得しようと、スタートアップに出資する大企業が増えています。しかし、その主目的となる既存事業とのシナジーが必ずしもうまくいくとは限りません。その場合、株式の減損処理を迫られるCVCも出てくるでしょう。それによって大企業がスタートアップとの連携を避けるようになると、新しい事業が生まれづらくなり、日本の産業界にとっても大きな損失となります。

 そこで当社のリクイディティファンドが保有を続けるのが難しくなった株式を引き受けることで、VCやCVCは株式を一部現金化でき、新しいスタートアップとの連携に資金を振り向けることができるようになります。また、既存株主が現金化のために早期のⅠPOを促すことが減り、日本にユニコーン企業が生まれやすくなる環境整備に貢献できます。

 スタートアップエコシステムの成長なくして、日本経済の発展はあり得ません。「世界に新たな産業を」という当社のミッションのもと、これまでにない価値を生み出そうと挑戦を続ける起業家を支える存在として、今後も事業を拡大して参ります。

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