2024-02-16

【財務省】 財政健全化目標は堅持も 首相の経済政策優先度は低下?

1月30日、鈴木俊一財務相は2024年予算案の国会提出を受け、歳出改革に関し「さらなる平準化を進めていく」と述べ、新型コロナウイルス禍や物価高への対応を理由に膨らむ財政支出を抑制していく考えを示した。

 鈴木氏はまた、国の地方の基礎的財政収支(PB)黒字化目標を堅持する方針を改めて示し、「歳出・歳入両面の改革を着実に推進する」と強調。「日本経済を立て直し、希望ある社会を次世代に引き継いでいかなければならない」とも語った。

 ただ、自民党の政治資金パーティー収入の不記載を巡って岸田文雄政権の基盤は大きく揺らいだ上、元日に発生した能登半島地震の復旧が長期化すれば、財政運営はおろか、経済政策に対する政権の優先度は低下しかねない。

 実際、昨年10月の臨時国会の所信表明演説で岸田首相は「経済、経済、経済」と連呼したが、今年1月の施政方針演説では経済政策への言及はトーンダウン。財務省幹部は施政方針演説について「目玉はない。官邸は賃上げ以外興味がない」(幹部)と〝解説〟する。

 一方、今年は年金財政検証が本格化する他、少子化対策など社会保障関係費の財源確保が焦点となる。

 人口減と75歳の高齢者急増が同時進行する人口動態を踏まえれば、社会保険料の引き上げで給付を賄ってきた従来の手法は「今後は通じない」(厚生労働省幹部)。ある財務省幹部は「少なくとも消費税率5%の引き上げは必要になる」と話す。

 4月には政治資金パーティーを巡る問題を受けて、複数の衆院選挙区で補選が行われる。また、自民各派閥の解消で8~9月に想定される内閣改造・自民役員人事も流動的。政治の流動化で経済運営は今後も不安定さを増しそうだ。

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