2024-03-08

関西経済同友会代表幹事・角元敬治「関西では行政だけでなく企業、大学の連携も進んでいる。この流れのさらなる推進を」

角元敬治・関西経済同友会代表幹事(三井住友銀行副会長)

「企業は、どうすれば社会から存在価値があると認めてもらえるかを、皆さんが模索している」と話すのは、関西経済同友会代表幹事の角元敬治氏。地政学リスクも高まる中、それまで当たり前だと思われていたビジネスの前提、企業に求められる社会的責任が大きく変わった。経営者はどういう意識で取り組むべきなのか。そして関西では2025年に万博も控える中、経済浮揚に向けて必要なことは─。


ビジネスの前提が大きく変わった

 ─ コロナ禍、地政学リスクもありますが、日本企業が変化を求められている時ですね。

 角元 ロシア・ウクライナ戦争や中東・ガザで起きている事態を見ていると、冷戦後の平和な30年が完全に崩れたことを痛感します。我々のビジネスの前提が変わったということです。

 グローバルサプライチェーンの中から、常に価格が安いところから供給を受けていた体制は、もう成り立ちません。その中で売り上げを伸ばしながら、いかにリスクをヘッジするかを経営者は常に考えなければなりません。

 もう1つ、企業は「利益を上げてさえいれば良い」という時代では完全になくなりました。どうすれば社会から存在価値があると認めてもらえるかを、皆さんが模索している状況です。例えばGX(グリーントランスフォーメーション)や地域への貢献などで企業が果たすべき役割は何なのかを、経営者が考えなければなりません。

 私が属している銀行業界も、先がなかなか見えない混沌とした状況の中にありますが、その中でも会社としてのパーパス(存在意義)を打ち出し、それに共感する従業員と一緒に活動していくことが、より重要になっています。

 ─ 日本は年初から株価が上昇していますが、経済環境をどう見ますか。

 角元 日本はコロナが収束し、インバウンド(訪日外国人観光客)を含め、個人消費が持ち直しています。また、GX、DX(デジタルトランスフォーメーション)という課題がある中、企業が設備投資を積極的に行っています。

 物価も上がり、賃上げもそれに追いつかなければという雰囲気になっており、日本もようやく好循環に入りつつあります。先行き不透明な部分もありますが、先は暗くないと見ています。

 ネックは人手不足です。人口が増えない日本では恒常的なものになってきており、今後さらに深刻化する可能性が高い。少ない人でどう活動していくのか、働き方を含めて真剣に考える必要があります。その中で淘汰も起きてくるかもしれません。

 ─ そうした状況下で開催された「関西財界セミナー」ですが、今回の議論の手応えは?

 角元 皆さん、私が申し上げたような問題意識を抱えながら日々仕事をしておられます。その中で日常の仕事から離れてオフサイトの場所に集まって、長期的な、大きな課題について、会社の立場を少し離れて議論するというのは意味のあることだと思います。

 議論の中で様々な気づきも得られますから、時代の転換点に立つ経営者の方々にとっても意義のあるセミナーになったのではないでしょうか。

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