2024-06-14

「健全な危機感をいかに復活させるか」パナソニックHD・楠見雄規に問われる実行力

楠見雄規・パナソニック ホールディングス社長グループCEO

根本的な課題は危機感の無さ



「キャッシュフロー(CF)重視の経営は定着したものの、各事業が当初の想定通りの収益力をつけることができなかった。株主や投資家をはじめとした皆様方の期待に応えられていない危機的な状況と認識している」

 こう語るのは、パナソニック ホールディングス(HD)社長グループCEO(最高経営責任者)の楠見雄規氏。

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 同社は現在、中期戦略の最終年度。2022~24年度までの累積営業CF2兆円、ROE(自己資本利益率)10%以上、累積営業利益1.5兆円の3つを目標に掲げているが、今のところ達成できそうなのは累積営業CFのみ。残り2つは未達となる見通しで、社長の楠見氏はこのような認識を示した。

 ただ、パナソニックHDの24年3月期の業績は、売上高8兆4964億円(前年同期比1.4%増)純利益4439億円(同67.2%増)と増収増益。数字を見れば最高益更新となり、そこまで悪くもない。

 もっとも、中身を見れば、米国で生産するEV(電気自動車)用電池が、インフレ抑制法(IRA)による補助金の対象となり、利益を1118億円押し上げた。この効果が大きく、楠見氏にとっても手放しで喜べる状況ではないということだ。

「津賀(一宏会長=前社長)の時代に比べて、構造的に劣後に回っている事業は減っている。ただ、それが数字に結び付いていない。根本的な課題は危機感の無さ。かつては競合に負けているというだけで大きな危機感を持っていた。それがいつの間にか、赤字でなければいいやとか、そんな危機感になっていないか。健全な危機感をいかに復活させるかだと思う」(楠見氏)


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