2024-08-06

IBC社長・加藤裕之「我々はシステム、インターネットの裏側を全て可視化できることに強みがあります」

加藤裕之・IBC社長

「『IT障害をゼロにする』という目標に向け、常に新技術、新サービスに挑戦していく」と話す。「システム性能監視」の先駆者であるIBCは、ブロックチェーンやIoTの高い技術力を生かして、顧客にサービスを提供。特に今は多くのものがネットを通して提供される時代。そこで問題が起きれば影響は甚大。そのため、IBCの持つ性能監視、セキュリティの技術力がさらに求められる状況。IBCが今後目指すものとは。


コロナ禍、ウクライナ戦争で受けた影響は?

 ─ コロナ禍の4年間、様々な環境変化があったと思いますが、どう総括しますか。

 加藤 元々当社は、2015年にマザーズ(現グロース)、16年に東証1部(現プライム)に上場しましたが、その際にブロックチェーン、IoT(モノのインターネット)を御旗に掲げました。日本、米国でIoTのセキュリティで特許を保有していますから、会社自体も、我々のチャレンジも注目していただいてきました。

 日本では経済産業省、総務省がIoTセキュリティの義務化を謳ってきました。それに対応して、当社は18年に日本、21年に米国で特許を取得したのです。ただ、コロナ禍もあり、日本のIoTの市場はほとんど立ち上がっていません。国の予算も、ほぼ全てがコロナ対策の費用に回ったことが影響しています。

 また、ロシア・ウクライナ戦争によって全世界的に半導体不足に陥ったことで、サーバーやネットワーク機器の納期遅延やお客様のシステム運用関連に対する投資が抑制されたということもマイナス影響でした。

 様々なことがありましたが、上場して9年経っていますから、その意味でも、我々が今後どう進んでいくかが、ますます重要になっています。

 ─ 厳しい経験も乗り越えたわけですが、今後の展開が問われるということですね。

 加藤 ええ。自戒を込めて言えば、今の日本の株式市場は、大企業しか牽引できていないというのが現状です。

 新興企業の中には事業の実態はないのに時流に乗っている形にして株価だけ上がっているようなところもある。我々は地に足を着けた経営をしていきたいと思っています。

 ─ また、実質が評価される時代が来ると思います。

 加藤 私もそう信じています。うまくはいきませんでしたが、ネットワーク・サーバ機器やソフトウェアの性能監視以外の新領域を開拓しようと、ブロックチェーンを活用して、あらゆる保険をつなぐプラットフォームづくりに取り組みました。

 保険証を撮影すれば自動的にデータが入力できる仕組みを持った管理アプリも出来ていました。大手航空会社、大手百貨店、大手保険会社などの参画も決まっていたのですが、これもコロナ禍が影響しました。

 参画を予定していた企業さんがコロナ影響によるリストラを行う事態になり、我々の開発費を賄うだけの会員を確保することが難しくなってしまったこともあり、20年5月に廃業を決断しました。

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