2021-07-18

ワクチン接種から見る【トヨタ】の姿勢 「まずは食堂従業員や警備員から」

工場での「トヨタ生産方式」がワクチン接種でも応用されている(写真は高岡工場の生産ライン)

「生産ラインを止めない」──。

 トヨタ自動車が6月21日から愛知県豊田市の本社で新型コロナウイルスワクチンの職場接種を始めた。同社本社の体育館で接種を始めたのだが、最初に接種を受けたのは意外にも、食堂従業員や警備員といった工場への出入り業者だ。

 トヨタでは「自動車の生産ラインをいかに止めないで稼働させるかという視点に立って考えた」(関係者)。その結果、「もし工員に食事を提供する食堂の従業員や部品を搬入するトラック運転手などと接する警備員が感染してしまえば、工場の生産ラインが止まってしまう」(同)

 出入り業者の接種を終えた後、トヨタ社員らにも拡大。初日は約300人だったが、この人数を1日1万人以上に引き上げる。当面は9月10日までに自社で職域接種が難しい仕入れ先企業の従業員らを含む計約8万人にワクチンを打つ計画だ。

 さらに、このワクチン接種でも同社は「トヨタ生産方式」を駆使して効率的な会場運営を実現させている。上着を脱ぐのに30秒、腕まくりに10秒……。トヨタの担当者はストップウォッチを片手に何度も一つひとつの動作を計測した。前出の関係者は「工場で普段から取り組んでいること」と話す。

 この数値を基に、接種会場に訪れた人が会場内を何度も往復することなく、最短のルートで接種を終えられるようレイアウトを工夫。他にも順路を色や絵などで案内する看板を設置するなどしている。豊田市では高齢者約10万人を含む25 万人を接種対象とし、そのうち4割を集団接種で賄う計画。対象となる高齢者のうちの半数弱は1回目の接種を終えている。

 日頃のものづくりに対するトヨタ独自の姿勢がワクチン接種に関する領域でも見て取れる。

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