―― そこの基本スタンスは間違えてはいけない。
石原 それと思うのは、わたしも8年近く官房副長官をやりまして、何度も省庁間の調整をしたんですが、やはり、内閣の一つの方向性を打ち出すためには、省庁間で競うことが大事なんです。しかし、競うことと対立することは違うんですよね。
わたしも省庁同士で競って、知恵を出し合うことは大いに奨励しましたけど、お互いに相手のあら捜しをし、非難するのはやめなさいと言ってきました。
やはり、省庁間である程度競争してもらわないと進歩がないんです。それぞれの省庁や所管行政が将来を見越して新しい技術を開発するとか、新しい分野を開拓していくことは絶対に必要です。ですが、時に競争が激しくなってしまって、その境目で何か見解の違いであったり、省庁間の権限争いだったりが起こってしまうんですね。
―― こうした場合、調整役は誰になるんですか。
石原 内閣が間に立って調整するしかありません。だから、省庁間の競い合いは必要で、それがなければ前進もないから、競い合って前進すると。ただ、お互いを叩き合うのはダメで、叩き合ったら両方がダメになってしまう。そういう心構えが必要だと思います。