2022-03-08

【”高専”に『副業先生』が必要なワケ】ビズリーチと連携して最先端領域の即戦力育成

写真左から、国立高等専門学校機構理事長・谷口功氏、ビズリーチ社長・多田洋祐氏

TSMCの九州誘致成功も
人材難が課題

「新しい形の教育を足していかないと、これから本当に活躍する人材にはなっていかないという危機感を抱いている。教育を前進、進化させる先頭に高専が立っていきたい」─。

 こう語るのは、独立行政法人国立高等専門学校機構理事長の谷口功氏。

 今年、創設60周年を迎える高専制度。日本の産業界を支える人材を育成し、日本の経済発展に大きく寄与してきたが、変化の激しい時代、様々な課題に直面している。その1つが、最先端の現場を知る教員の不足だ。

「最先端のことをやっている方に学校に来て下さいとお願いしても給与のこともあり、難しい」のが現実。そこで、高専は昨年、ビズリーチのプラットフォームを活用して、企業で活躍しながら高専の実務家教員として授業を行う『副業先生』を公募。

 昨年11月、高知高専でITのプロ人材が〝セキュリティ領域〟の副業先生として授業を実施すると、生徒からも好評で、今年3月には一関工業高専で第2回目の公募も開始する。

 今後、副業先生の導入を進め、3年後には全教員の1~2割を実務家教員にすることを目指し、『副業先生導入モデル』の検証と構築を行い、他の国立高専への展開を進めていく。

 ビズリーチはこの取り組みをSDGsプログラム『みらい投資プロジェクト』で行うため、プラットフォームを無償提供する。

 第一弾の副業先生の公募には全国から43名の応募があり、4名の採用が決定。応募者の66%は「報酬より仕事内容を重視」。64%が「教育現場での仕事に関心がある」と答えるなど、自身のスキルを社会に還元したいとの思いで応募した人が多かった。

 まずは最も人材の不足しているセキュリティ領域の副業先生から公募したが「必要に応じて(公募範囲を)広げていく。例えば、九州の半導体が話題になっているが、産業を再構築して世界をリードできるようにするには人材が必要」(谷口氏)と領域の拡大を視野に入れる。

 無資源国日本にとって、人材こそが資源。今回のビズリーチと高専機構の連携は、最先端領域の教員不足など、課題解決の1つの策となる。

「社会のいろんな方の力を借りて人材を育てていく」(谷口氏)

 新たな教育のあり方に期待がかかる。

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