2022-06-03

国家の防衛戦略をどう構築するべきか 答える人 元防衛大臣・森本敏

日本が米国に対して行っている協力は十分なのか



 ―― 日本は我が方の安全保障戦略をどう考えていけばいいのでしょうか。

 森本 有事の際、インド・太平洋において、台湾に協力してくれる国は米国と日本しかありません。韓国は北朝鮮の対応で無理ですし、中国やインドも駄目。ASEAN(東南アジア諸国連合)は自国のことで精いっぱいで、豪州・カナダ・欧州は遠すぎる。結局、有事が起これば、日本と米国で何とかしないといけません。そういう中で、日本が米国に対して行っている協力は十分なのかと疑問に思います。

 ―― 台湾有事が起きた場合、日本は何も対応できませんでしたでは済まされない。

 森本 日本の軍事費はNATO(北大西洋条約機構)諸国のGDP比2%以上も念頭に、我が国としても5年以内に防衛力を抜本的に強化するため、必要な予算水準の達成を目指すと言っています。

 しかし、5年では遅いばかりか、党内には、この厳しい財政状況の中でいわゆる社会保障だとか、新型コロナ対策とか医療福祉の改善をやりながら、限られた予算の中で防衛費だけ突出させるわけにいかないという反対意見も根強くあるんです。

 ですが、インド・太平洋地域で米国の防衛力にはまだまだ足りない部分がある。例えば、日本には今、空中給油機が7機ありますが、この空中給油機を相当数持たないと、戦闘機の能力を向上できない。それから攻撃をされたときの戦闘機だとか、艦艇の防護能力を補うことも重要だから、お金がもっと必要です。ここはもっと真剣に議論すべきです。

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