2022-06-03

国家の防衛戦略をどう構築するべきか 答える人 元防衛大臣・森本敏



 ―― 本質をついた議論ですね。それと、大前提として、自らの国は自ら守るという意味での役割分担も大事だと思うんですが。

 森本 仰る通りです。自分たちでできる部分は何かというと、ミサイル防衛と打撃力です。

 ミサイル防衛とは、飛んでくるミサイルを自分で払うことです。これは米国に助けられるのではなく、自らやらないといけない問題です。もう一つの打撃力、反撃能力のことでは、例えば、相手国の巡航ミサイルの射程距離が1千㌔あるのに、こちら側の射程が300㌔しかなければ、打たれっ放しなんです。だから、こちらが持つ空対艦あるいは空対地のミサイル、巡航ミサイルの射程の延長をするために新しい巡航ミサイルやセンサーの開発をしないといけない。これは自らがすべき努力です。

 ―― これは従来の基本観をガラっと変えないといけないということですね。

 森本 かなり国家の防衛の概念を変えないといけないことは確かです。憲法改正というよりも、まずは、今の憲法の枠の中で必要な防衛力を持つことは十分できます。

政府は年末に向けて外交・防衛政策の長期指針「国家安全保障戦略」の改定を進めています。今まで以上により緊迫した北東アジア情勢の中で、特に日本は北朝鮮と中国とロシアの脅威に直面している、ただ一つの国です。これら三つの国に隣り合っている国家の防衛をどうするべきかについて、より高度な判断が問われているということです。

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