2022-07-16

【経済安全保障が言われる中】「混沌の世」に基本軸をいかにつくるか?



日本企業の役割は「つなぐ」


 民主主義対非民主主義の色分けでいけば、非民主主義国の方が多いという指摘もある。世界は複雑である。多面的に物事を見ていかなければならないという現実がそこにはある。

 日本企業の生き方とは何か?  それは『つなぐ』ということにあるのではないか。明治維新(1868年)から150年が経つ。欧米に追いつけ追い越せで戦前までやってきて、一等国の地位に並ぼうとした途端、太平洋戦争(第2次世界大戦)が起きた。

 日清・日露の両戦役で勝ち、第1次世界大戦でも戦勝国の側に入った日本だが、第2次大戦では敗戦国となった。まさに驕れる者久しからずの例え通りである。明治維新から、その敗戦まで77年だった。

 その敗戦から戦後復興にかけて日本国民は必死に働いた。戦後から高度成長期を経て、1968年(昭和43年)にGDP(国内総生産)で当時の西ドイツ(現ドイツ)を抜き、米国に次ぐ自由世界第2の経済大国となった。

 しかし、無資源国の悲哀である。1973年の第1次石油ショック、そして第2次石油ショックを経て成熟時代となり、1980年代のバブル期を経て、90年代初めにバブルが崩壊。以降、「失われた30年」が続く。

 明治維新からみれば、今年は150年という節目。先の大戦の敗戦からは77年が経つ。

 国のあり方、企業のガバナンス(統治)、個人の生き方・働き方をどう選択していくか。

 日本には課題もあるが、良さも同時にある。ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)などに通ずる〝三方よし〟の精神、共生の思想などである。その良さをどう掘り起こしていくか。

 ネット社会になり、GAFAMが生まれた米国、一方、そうした世界に影響を与える企業が米国と比べて少ない日本のあり方をどう考えるか。まさにここは日本企業にとって正念場であり、企業経営者はもちろんのこと、国民1人ひとりにとって課せられる課題である。日本の使命と存在感が問われている。

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