2022-08-02

価格下落続く仮想通貨、国内では事業者の再編も

暗号資産(仮想通貨)の価格下落に歯止めが掛からない。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速など世界的な金融引き締めを受けて投資家が資金を引き揚げている上、仮想通貨を巡るスキャンダルや関連事業者、ヘッジファンドの破綻が相次ぎ、信用不安に直面しているた
めだ。

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 仮想通貨は相場の変動が大きい旨味から運用資産に組み入れる大手ファンドも増えているが、価格下落が進めば、損失穴埋めのために株式や債券を売る動きが広がり、金融市場混乱の火種となる恐れが出ている。

 フィンテックの象徴とも言える仮想通貨ビジネスには、ITベンチャーがこぞって参画してきたが、市場が急速に縮小する中、事業者の再編・淘汰が加速すると見られ、その波は日本にも及び始めている。

 最大の問題は銀行や証券会社とは異なり、欧米などでは仮想通貨事業者が破綻した場合に投資家を保護する仕組みが全く整備されていないことだ。その匿名性を悪用したマネーロンダリング(資金洗浄)などの弊害も指摘されており、世界的に厳しい規制が課される流れとなりそうだ。

 日本では、仮想通貨交換業者の再編が起きようとしている。交換業者最大手・ビットフライヤーホールディングスを巡っては、現経営陣が主導して、シンガポールと日本に拠点を置く投資会社ACAグループによる買収交渉が行われる一方、株式の約4割を握るビットフライヤー共同創業者の加納裕三氏は反発。投資銀行を経由して楽天グループや、交換業大手・コインチェックを傘下に持つネット証券大手、マネックスなどと独自に買収交渉を探る混迷状況。

 相場暴落にもかかわらず、買収熱が高まる背景には「将来、メタバースビジネスが本格化すれば、巨大な仮想空間で商品やサービスをやり取りする決済手段として仮想通貨が基軸となる」(楽天関係筋)との読みがある。

 日本の仮想通貨業界も世界的なバブル崩壊を乗り切り、メタバース時代に向けて生き残るにはそれなりの経営規模が必要ということ。既存の金融機関や大手IT企業を巻き込んだ再編の動きが活発化しそうな気配だ。

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