2022-07-15

【物言う株主】老舗地銀にファンドの外圧、地銀再編につながるか?

「モノ言う株主」に地銀の経営が揺さぶられている。滋賀銀行(大津市、預金量約5.6兆円)や中国銀行(岡山市、同約7.5兆円)など老舗地銀4行は、英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズから、年間配当を2倍以上に引き上げるよう求める株主提案を突き付けられた。

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 一方、八十二銀行(長野市、同約8兆円)や山梨中央銀行(甲府市、同約3.5兆円)など有力地銀5行は、大株主に浮上した村上ファンド系のシティインデックスイレブンスから株主還元強化を迫られている。

 各行とも「地銀の有力銘柄」。経営基盤が脆弱な第二地銀とは異なり、従来「ファンドの標的となる可能性は低い」(業界筋)と見られてきた。

 だが、超低金利の長期化など思うような収益を上げられず、株価が低迷。PBR(株価純資産倍率)は軒並み解散価値とされる1倍を大きく割り込む状況。「割安銘柄」の臭いを嗅ぎつけたアクティビストファンドの手が遂に伸びてきた格好で、各行の経営陣は戦々恐々。

 老舗・有力地銀の株主構成が激変した背景には、株式持ち合い解消や、機関投資家による政策保有株の売却が影響している。

 シルチェスターは「穏健派アクティビストファンド」(大手証券)と見られてきたが、地銀経営陣が再編に消極的であることに苛立ったと見られている。「投資の手仕舞いを急いでいるのではないか」(市場筋)との見方もある。

 一方、村上ファンド系のシティも「究極の目的は再編による大儲け」(大手証券)と見られる。昨年、新生銀行株を大量に買い付けたシティは、SBIホールディングスによるTOBに応じて多額のキャピタルゲインを得た〝成功体験〟がある。

 長らく必要性が指摘されながら、停滞してきた地銀再編。モノ言う株主の外圧が再編の動きを再起動させる触媒となるか。

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