2022-08-26

【テスラに次ぐ黒船襲来】「誰でも手が届く価格でEVを」中国・BYDの日本進出の衝撃度

BYDが2023年から日本で順次販売する3車種のEV



トヨタとも合弁会社を設立 独自のバッテリーを開発

「まずはやってみる。このチャレンジ精神がBYDの強みだ」と劉氏。実際、同社の歴史は進化の歴史だ。1995年に中国・深圳で電池を研究していた王傳福氏がBYDを創業。当時、先進国では見捨てられつつあったニッケルカドミウム電池に目を付けて波に乗る。

 リチウムイオン電池でもモトローラやエリクソンなどに提供を開始し、99年には日本進出。多くの日本の電機メーカーにバッテリーを供給し、2008年には中国トップの電池メーカーに上り詰めた。


劉学亮・BYDジャパン社長

 しかし、電池だけでは成長に限界が訪れると考えていた王氏は03年に中国国営自動車メーカーを買収し、自動車製造に乗り出す。ガソリン車を生産する一方、祖業でもある電池の技術を生かしたEVなどの開発にも着手。06年にはEVを開発し、08年にはPHVも開発した。

 その後、中国政府のNEV普及政策の追い風に乗って販売は拡大。今では独自の「ブレードバッテリー」も開発。刀のように薄くて細長い形状にしたセルを並べてエネルギー密度を高め、軽量で少容積ながらも航続可能距離を大幅に伸ばすことに成功した。トヨタとは中国合弁会社のパートナーにもなっている。

 そんな同社が日本の乗用車市場に進出したのは「自然な流れ」と劉氏は話す。前出の日系メーカー関係者は「間隙を縫っての進出だ」と反応する。日本でのEVの新車販売台数は上期で1%に過ぎない。いち早くEVでシェアを獲得しようとする同社の目論見も透けて見える。

 もちろんBYDに課題はある。前述の通り中国製に対する日本人の評価は高いとは言えず、EVではテスラが牙城を築いている上に、日本勢のEVも増えてくる。ものづくりの力を持つ異業種・BYDの自動車業界参入は日本の自動車業界に一石を投じることになりそうだ。

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