2022-08-29

《グループ経済圏の強化へ》LINEとヤフーがID連携

写真はイメージ

“生活基盤プラットフォーム”の形成なるか?



 

「『PayPay(ペイペイ)』を、国民の誰もが使う便利な決済サービスへと成長させていく」――。

Zホールディングス(HD)社長の川邊健太郎氏は、8月3日に開いた2022年度第1四半期(4-6月期)決算説明会で高らかに宣言した。ペイペイの累計登録者数は6月末時点で4865万人に上るが、倍増を目指すという。

 川邊氏が自信を見せる背景には、ソフトバンクと共同でペイペイを10月に連結子会社化することがある。

ペイペイは従来、ソフトバンクグループ(SBG)の子会社だった。ソフトバンクとZHDは、傘下で電子商取引(EC)を手がけるヤフー、対話アプリケーション(応用ソフト)を展開するLINE(ライン)、およびペイペイの3社の相乗効果向上を狙う。23年以降、3社のIDを連携する計画だ。

 LINEの国内利用者は9200万人。「LINEとの連携を強化することで、ペイペイを利用していない人にリーチでき、ユーザー基盤をさらに拡大する余地が広がる」(川邊氏)。ペイペイとLINEがそれぞれ提供してきた金融サービスの相互利用なども見込めるとしている。

 ただ、こうした構想自体は今に始まったものではない。

 ZHDは韓国ネイバー傘下だったLINEと21年3月に経営統合し、その際もペイペイを含むフィンテック(金融・ITの融合)の強化を掲げていた。

しかし、統合後、程なくして、LINE利用者の個人情報が中国から閲覧可能になっていたなど、データ管理の問題が発覚。ソフトバンクやZHDは原因究明やガバナンス(企業統治)強化に追われることになった。

 この“足踏み”も影響してか、株式市場ではZHDについて「LINEとの統合効果発揮は道半ば」(アナリスト)との指摘もされてきた。M&A(合併・買収)実施後の統合プロセス(PMI)には大なり小なり苦労が付き物とは言え、今後は迅速に業績で結果を示していく必要がある。

 今後は川邊氏やソフトバンク社長の宮川潤一氏の指導力が問われる。

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