2022-08-30

眼鏡やコンタクトがなくても景色が見える! QDレーザ・菅原充が賭ける「究極の半導体レーザー」

菅原充・QDレーザ社長



早期の黒字化が課題



 近年はスマートフォンや「5G」などの高速回線の普及により、ネットワーク上のデータのやり取りが増加。データセンターにおける電力消費量も世界的に増え続けている。

 そこで応用が期待されるのが、同社の量子ドットレーザー。これを使って、現在主流になっているサーバーの中の電気配線(銅配線)を光配線に変換することができれば、情報を処理する速度は100倍、電気代も100分の1で済むという。

「サーバーの中のシリコンチップ同士が電気回路ではなく、光で情報のやり取りをするようになると、コンピューター自体の情報処理能力が飛躍的に向上する。量子ドットレーザーは究極のレーザーと言われ、今後、5Gから6G、そして自動運転車の普及に欠かせない技術。来年には量産化が実現できそうで、大いに期待している」(菅原氏)

 同社の22年3月期の売上高は11億円、営業損失は9億円。製薬ベンチャーなどにありがちな、技術ありきの先行投資型の会社で、業績は赤字が続く。2021年に東証マザーズへ上場した同社だが、この時も業績が赤字だったため、東証審査はかなり時間がかかったという。このため、早期の黒字化が求められている。

「本当に苦労の連続でここまで来ることができた。それでも、昨年の上場を機に会社の信用もついたし、世間から認知されつつある。卵か、鶏かという話になってしまうが、来年くらいから量産化が進むと思うので、来年、再来年には黒字化したいと。当社は“人の可能性を照らせ”というのが、コーポレートメッセージ。これからもテクノロジーを通じて、人間や社会の進化に貢献したい」(菅原氏)

 同社の技術が、世界の未来を照らすことはできるか。何度壁にぶち当たろうとも、東北人らしい粘りで、様々な障壁を乗り越えようとする菅原氏である。

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