同社の特徴は国内で100を超える医療機関と提携していること。がん研有明病院や大阪国際がんセンター、東大病院、慶應義塾大学病院などと様々な共同研究を行っている。設立わずか5年のベンチャーが、こうした国内トップクラスの医療機関と提携するのは珍しい。これは多田氏がもともと医師として内視鏡の研究を重ねてきた実績や日頃から蓄積してきたネットワークが生きている。
「当初は、『AIが人間を診断するなんてとんでもない』などと言われたが、今では『AIと一緒に取り組んだ方がより良い方向に向かうんじゃないか』と言われるようになった。今後も内視鏡AI事業を通じて、患者と医師の両方に負担が少ない検査環境の構築を目指し、世界の内視鏡医療の質を向上させていきたい」と語る多田氏。
オリンパスや富士フイルムなどのハードメーカーが既存の市場を牽引する中、同社はAIを武器に業界に新風を吹き込むことはできるか。多田氏の挑戦はまだ始まったばかりだ。