2022-10-24

「持続可能なヒントは日本の中に眠っている」国際社会経済研究所理事長・藤沢 久美

国際社会経済研究所理事長 藤沢 久美



 ─ これは既存の産業も、若いIT企業も同じですか。

 藤沢 同じだと思います。ただ、スタートアップの若い人たちの中には「100年先」という言葉を使う経営者も出てきて、先日お会いした経営者の方も「100年先の産業をつくる」と仰っていました。

 わたしはこの数年で「100年先」という言葉を使う人がすごく増えてきたように思うので、非常に頼もしく感じます。

 ─ これはどういう心理的状況だと思いますか。

 藤沢 やはり、今の20~30代の方と話をしていると、彼ら・彼女らは生まれた時から日本が沈むと言われて、未来がないと言われて育ってきた世代です。

 しかも、世の中は長寿化してきて、人生100年時代と言われていますから、20歳の人であれば、これから80年をどうやって生きたらいいんだ? と真剣に考えているんです。

 そこでキーワードになっているのが「持続可能性」という言葉で、社会が持続可能でなければ100年先の未来はないと言うんです。

 特にわたしが話を聞いていて面白かったのは、若い人たちの中で歴史を勉強している人が増えていて、100年以上続いている伝統産業であるとか、日本の技術や技能に興味を持っている。そういう日本の歴史を振り返って、物事を考えていけば持続可能なヒントは日本の中に眠っているのではないかと。そういうことを言う若者が増えているというのは、驚きであると同時に興味深いことでした。

 これから100年先の社会をどうつくっていくかという視点と同時に歴史や伝統から学ぶ姿勢を併せ持つ人が増えているのは、すごくいいことだと思います。

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