2023-01-06

【2023新春インタビュー】安永竜夫・三井物産会長を直撃!

安永竜夫 三井物産会長

世界中を探せば必ず解決策は見つかる!



─ 三井物産会長の安永竜夫さん、世界中で事業を展開している商社の視点で23年の世界経済を占ってください。 

 安永 ウクライナ情勢が長引けば、エネルギー・食料の安定供給に関するリスクも続きます。米国や欧州が高いインフレに見舞われ、主要国が金利を上げてきているのを見ると、全体として下振れリスクを警戒すべき状況にあります。 

 われわれは川上の資源ビジネスも手掛けており、商品市況の追い風を受けていますが、これからかなり脇をしめて経営していかなければなりません。 

 一方で、サプライチェーン(供給網)が混乱した時には、商社ならではの解決策を提供できると考えます。例えば、強みであるロジスティックス機能を駆使し、代替ソースを手配することができますから、そういった意味での危機管理はできているという感じはします。 

 ─ ある意味では、三井物産ならではのソリューションを提供するチャンスだと。 

 安永 当社が持っているネットワークや幅広い顧客基盤を活用して、世界中を探せば必ず解決策は見つかります。 

 その意味で、大事なのが「人」ですよね。われわれの仕事の主な舞台は海外ですから、国籍やジェンダーを問わない人材が集まり、地域に根を深く張ったビジネスを展開していく必要があります。 

 日本人と現地人材と、場合によっては第三国からのエキスパートを含めたハイブリッドなチームをつくり、個性を活かしながら多様性ある組織をつくっていきたいと考えています。 

 ─ それと近年、経済安全保障という観点が重要になってくる中で、国と企業の関係をどう考えますか。 

 安永 ビジネスの中で国の安全保障に関わる部分が増えており、当然、これはルールに則った形で進めていきます。 

 例えば、特定の国においては、ある日突然、ロックダウンによってサプライチェーンが遮断されるリスクもあります。こうした事態を回避するためには、考え方や主張を同じくする国を中心にサプライチェーンを組み直す(フレンドショアリング)必要があります。それだけに、国の安全保障に直結する分野については、常にアンテナを高くし、サプライチェーンの強靭化に努めていくことが必要となってきます。 

 一方で、ほぼ全てのエネルギー資源を輸入に頼っている我が国は、競争力のある価格で安定供給を担保するために、選択肢を可能な限り広げて、継続的に輸入を続けていく必要があります。経済安全保障のポリシーを遵守しつつ、現実のビジネスに落とし込む柔軟な対応が求められており、それを実現する為にも、しっかりとした官民連携が重要だと強く感じています。 

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