2023-02-03

久慈設計社長 ・久慈 竜也 〈建築設計で、岩手から世界をにらむ〉

久慈竜也・久慈設計社長



 ─ BIMを導入するメリットはどういうところにあるのか、何か具体的な事例はありますか。

 久慈 例えば、当社は官公庁や学校などの公共施設を手掛けることがほとんどですが、学校に校舎を建てた時にどこに木を植えるか考えるとしますよね。

 そうなったら、校舎の周りにどういった風の流れがあるのかを考えて木を配置していくんですが、ここに防風林を植えれば砂ぼこりが舞ったとしても、近隣住居に飛ばなくなるから住民たちの理解を得やすいと。そういうことを説明するには、二次元の図面よりよっぽどいいですよね。

 ─ 頭の中でイメージしやすいというのがメリットなんですね。

 久慈 ええ。ですから、市長さんや町長さんから「どんな建物になるんだ?」と言われた時にイメージがしやすいと思うんですよ。

 線だけで書かれた二次元の図面では、毎日、設計図を見ている人でなければ、建物の完成予想がイメージできません。設計の段階からお客様と完成イメージを共有できるので、完成形を理解していただくスピードが速くなります。

 ところが、悩ましいのは、このBIMというのはランニングコストが非常にかかります。当社の場合、毎年700万円くらいがコストとしてかかってくるんですが、これだけのコストを払うのは中小・中堅の設計事務所にとっては大変なことです。

 ─ なるほど。だから、BIMを導入しているのは、大手のゼネコンや設計事務所に限られてくるわけですね。

 久慈 そうなんです。ですから、岩手に本社を置くわれわれのような会社がBIMを導入していると言うと、皆さん驚かれます。東京にはBIMを導入している会社は沢山ありますが、岩手ではまだ珍しいです。

 そうは言いながらも、3年後、5年後になれば、BIMを導入する設計事務所はもっと増えてきます。だから、現時点では久慈設計が一歩前に立っているからチャンスなんですよね。それが先行投資をしたメリットになりますね。

 ただ、当社にインターンでやってきたり、入社してくる社員の中には、「BIMがやりたいから久慈設計を選びました」と言ってくれる人もいます。ですから、コストはかかりますが、それも先行投資の一環だと考えています。

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