2023-03-02

【株価はどう動く?】 日本株は節分から上昇、彼岸に天井?海外投資家は「日本売り」から「買い」に

次期日銀総裁は「物価目標2%」を引き継ぐか

 2020年の「コロナショック」以降に始まった、日本及び欧米先進国の「異次元の金融緩和」、史上最大の景気対策の結果が今、出つつあります。

【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】 2023年は「脱デフレ」の年、日本株は年央高となるか?

 米国では猛烈なインフレとなりました。そのため、インフレ対策で21年11月から金融引き締め、利上げを始めました。その結果、米国の株式市場を牽引していた「GAFAM」などの巨大IT株が天井を付けて大幅に下落、今も調整局面が続いています。

 また、余剰マネーが向かっていた仮想通貨(暗号資産)も21年11月に天井を付けて以降、下落調整局面が続いています。

 では、日本株はどうかというと、ごく最近まで米国株式市場に連動した動きが続いていました。その日本株が、23年第1四半期、1―3月くらいまでに底入れして、新しい上昇波動が始まるのではないかというのが、私の大局観です。

 その背景は何かというと、今到来している円安です。円安、脱デフレ、好況到来という循環に向かいつつあるのです。それがはっきりし始めるのが、23年第2四半期、4月以降ではないかと見ています。

 米国株はFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを継続していますから、当面波乱の展開が続きますが、日本は今なお金融緩和を続けており、なおかつデフレ経済の中にあります。

 これが「脱デフレ」ということになると、今日本銀行が取っている「マイナス金利政策」や「イールドカーブコントロール」(長短金利操作)が修正されることになります。いよいよ日本の金融市場は正常化に向かうことになるのです。

 その意味で、次の日銀総裁のカジ取りが注目されます。その中で2月10日の週末、各メディアが日銀新総裁に経済学者の植田和男氏を起用へと一斉に報道しました。直後の植田氏への取材で「金融緩和の継続は必要である」と明言。これを受けて外国為替市場では円安が進み、132円台を付けました。

 ただ、誰が日銀総裁になっても、今の日本の経済状況で、すぐに引き締め、利上げをするのは難しいだろうと見ます。

 13年3月の黒田東彦総裁登場以来、「物価目標2%」の達成が日銀の目標となっていますが、黒田総裁の直近のメッセージを見ても、10年かけて物価目標2%を達成できなかったことを悔やんでおられます。なので、この目標を次期総裁も引き継ぐことになると思います。

 物価目標2%が1年以上継続する状態でなければ、金融緩和はやめないというのが黒田総裁の方針でしたから、それを引き継ぐ人が次期総裁に任命されそうだということで、日本の金融緩和、円安は継続することになります。

 ですから前述のように、円安、脱デフレ、好況到来という好循環が、23年4月以降はっきりしてくるのではないかと見ています。

 今、日経平均株価は2万7700円から2万7800円が一つの壁になってきましたが、それをいつ乗り越えるかです。

 日経平均の価格の波動を見ると、21年の二番天井、9月14日の3万795円から、22年3月9日の2万4681円まで、6000円強下げました。この半値戻しが2万7700円前後なのです。

 この水準を引け値ベースで突破してくるようであれば、半値戻しの壁突破ということになり、まずは昨年後半の戻り高値、22年8月17日の2万9222円の奪回に向かうことが予想されます。

 直近、相場の世界では多くのアナリストが「節分天井・彼岸底」になるのではないかと指摘しています。しかし、相場の動きから見ると、そうはならないのではないか?

 節分は2月3日ですが、その頃から日本株は底入れから反転上昇の動きに移りつつあります。むしろ、節分の頃から株価が上がり始め、彼岸の頃に天井をつける可能性の方が高いのではないかと見ています。

 その背景は、マクロには昨年来の円安が継続していることです。円安によって脱デフレの可能性が高まっていますし、インバウンド(訪日外国人観光客)が復活してきていることも日本経済にとってプラスです。


市場を牽引する銘柄は?

 以上のことから、この後株高が始まって3万円の大台を目指すことになると、誰が牽引するのか?ということになりますが、前回も指摘したように海運、鉄鋼株だと見ています。

 海運、鉄鋼銘柄の23年3月期決算は、前期ほどはよくないところもありますが、好調を持続しています。例えば川崎汽船(東京PRM 9107)の業績は従来予想を下回りましたが、業績発表後に株価が上昇しました。上昇の理由として、23年3月期の予想配当を1株100円から300円に増額したことが考えられます。

 鉄鋼関連を見ても、例えば日本製鉄(東証PRM 5401)なども決算発表後、株価は上昇して、2月10日には年初来高値を付けています。やはり好業績、高配当の海運と鉄鋼が市場を牽引しています。日本株は23年、円安、脱デフレ、3月決算の好業績で新しい上昇波動が始まっていると言えます。

 米国は波乱の展開、欧州は一時的に株価が上がっていますが、ウクライナ戦争の影響で停滞を余儀なくされます。

 海外投資家はこれまで多くが「日本売り」を仕掛けてきていましたが、第2四半期以降は買い戻すことになるのではないかと見ています。なぜなら欧米先進国が資産を増やせる対象が日本株、日本の不動産になる可能性があるからです。

 日経平均は綺麗な「トリプルボトム」、「逆三尊」が入っており直近、上に窓を開けて「並び赤」(窓を開けて、ほぼ同じくらいの陽線が二つ続いて出現した形状)という強いチャートが出ています。株価上昇の兆しが出ているというのが「酒田五法」から見た予想です。

 23年からの「ゴールデンサイクル」の波に乗って、「バイ・ジャパン」、日本買いが始まるのではないかと見ています。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事