2023-04-17

【記者座談会】値上げできている企業、値上げできない企業の差とは?

何が分かれ目になるのか?



 B 小売業界では、セブン&アイ・ホールディングスが、第3四半期(22年3―11月期)決算の営業利益で前年同期比30.4%増の大幅増益となった。けん引役となったのは、海外コンビニエンスストア事業で、事業別の営業利益では国内コンビニ事業を上回った。今後は海外に成長の軸足を移そうとしており、それが功を奏した形だね。

 A ライバルのイオンも第3四半期の営業利益は同26.3%増と過去最高益を記録。ディベロッパー事業やドラッグストア事業が好調だったね。

 D イオンはプライベートブランド(PB=自主企画)商品約5千品目の価格据え置きを実施しているよね。昨夏、一部商品を値上げしたけど、その後はどうなっているの?

 B 昨年10月以降、ナショナルブランド(NB)の値上げが相次ぐ中、消費者の生活防衛意識が高まったことで、同社のPB『トップバリュ』は前年同期比6.7%増と伸長している。

 B そうなんだ。PB商品は集客に一役買っているだけに、今後は付加価値の高いPB開発を強化するみたいだよ。

 一方、業態も決算期も違うから同列に論じることはできないけど、良品計画の第1四半期(2022年9―11月期)は、営業利益が同54.9%減になった。良品計画も価格の据え置きを維持してきたけど、利益が半減しては元も子もない。そこが悩ましいところで、この春夏商品は平均で約25%値上げすることを決めていて、収益改善を図る考えだよ。

 A 小売業界では、値上げに慎重な企業がまだまだ多い。これまでの経験上、競合店も値上げしてくれればいいけど、自分のところだけ値上げすると、周りの店に顧客を奪われてしまうという不安が大きいからだ。

 B 各社ともこれだけの原材料価格の高騰で、我慢比べは限界にきている。いち消費者としては値上げしないことは嬉しいけれど、日本経済という観点で考えたら、今は商品値上げから賃上げ、デフレ脱却を目指すための正念場。消費環境は厳しい状況がしばらく続きそうだね。

 A 産業界全般で物価高による値上げが避けて通れなくなっているけど、値上げしても需要がついてくるような戦略を打ち出せるか。そこが勝負の分かれ目になってくるね。

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