2023-03-24

三井不動産「東京ミッドタウン八重洲」の〝丸の内にない魅力〟とは何か?

全面開業した「東京ミッドタウン八重洲」



 その意味で、三井不動産のミッドタウン八重洲は、八重洲エリアの賃料水準も含め、価値を高める存在になることができるかが問われている。

 ミッドタウン八重洲は当初、テナントリーシングが苦戦しているという見方がされていた。だが、蓋を開けてみれば「満床」(菰田氏)での開業を迎えることができた。

 この結果には不動産業界から驚きが走った。「どうやって実現したのだろうかと思った。オフィスマーケットが悪化している中でのリーシングだったので、満床ということであれば上々のスタートと言えるのではないか」と話すのはニッセイ基礎研究所主任研究員の佐久間誠氏。

 今回のように、その地域における新たな再開発でのオフィスリーシングは、マーケットの変動の影響を受けやすい。活況の時には何の問題もなく埋まるが、足元のような混沌とした状況下ではなかなかテナントが決まりにくいからだ。

 21年9月頃から、都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)の空室率は6%台半ばと、ほぼ横ばいで推移してきた。その背景は「21年、22年に大きな供給がなかったからで、オフィス需要が改善しているわけではない」(佐久間氏)。

 23年には森ビルの「虎ノ門ヒルズステーションタワー」、「麻布台ヒルズ」、東急不動産の「渋谷サクラステージ」など大規模複合施設が竣工。一部で言われた「2023年問題」というほどではないにせよ、大規模オフィスの供給によって空室率の上昇は避けられないという見方は強く、市況の好転には時間がかかると見られる。

 一部の調査では、中堅・中小企業にはオフィスの拡張ニーズが見られる一方、大企業には縮小を志向するところもある。その意味で、これから選ばれるオフィスであるためには、やはり他との差別化が必須条件。

 今後、八重洲独自の魅力を掘り起こしていくこと、それがこのエリア、ひいては東京の都市競争力向上につながることになる。

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