2023-08-03

ENEOSホールディングス社長・齊藤猛「エネルギー・素材の安定供給と脱炭素社会の実現に貢献していく」

齊藤猛・ENEOSホールディングス社長



 ─ 2030年頃を見据えて?

 齊藤 はい。その頃には将来の一次エネルギーの主役は何かの分岐が見えてくると考えています。ENEOSグループとしましては、この6年間で用意周到に準備し、中期経営計画に基づいた戦略展開を行い、2030年頃にどれだけアドバンテージを確保することができるのかにかかっています。そういう意味で、われわれがファーストムーバーになると言っています。

 そして、三つ目の柱が「経営基盤の強化」です。エネルギー事業会社のENEOSのうち、機能材事業、電気事業、再エネ事業を分社化します。

 ENEOSは基盤事業である石油精製販売のキャッシュを最大化し、エネルギートランジションに向けた次世代エネルギービジネスを構築します。JX金属の将来的なIPO(新規株式公開)を見据えた、株式上場の準備も開始します。

 さらには、資本効率を重視し、ROIC(投下資本利益率)を指標としたポートフォリオ経営を行います。低効率の事業については、抜本的な経営改善策に着手する考えです。

 ─ 責任を明確にし、時には厳しい判断も辞さないということですね。

 齊藤 そうです。今回、ROICという経営指標を持ち込んだのは、事業ごとに、どれだけ投資をして、リターンがどれだけあり、投資に見合う利益があるのかどうかという資本の効率性と責任を明確にするのが目的です。

 それを明確化するという意味で、2024年から分社体制を進めていくことを決めました。

 ─ 改めて、JX金属の上場を考えた理由は何だったのですか。

 齊藤 JX金属、ENEOSホールディングスの両社にとって、付加価値を上げるものだと確信したので判断しました。

 現在、JX金属が手掛けている事業は、スマートフォンや半導体などの需要が旺盛で、どの事業も高い成長性があります。従って、技術力もあるし、会社としてのポテンシャルも非常に高いと思っていますが、今の評価は低すぎるのではないかと感じています。IPOすることによって、きちんとした市場評価を明らかにしていく。これでJX金属という会社の価値が向上すると考えています。

 もう一つは、先ほどお話したように、得られたキャッシュでエネルギートランジションを進めていきます。加えて、株主の皆様へ、配当を中心として適切な還元をしていく。JX金属、ENEOSホールディングス、両社の付加価値を上げることができると考えています。

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