2023-08-08

ウシオ電機社長・内藤宏治が語る「創業者・牛尾治朗さんの思い出」

内藤宏治・ウシオ電機社長



 ─ 牛尾さんは現場との対話を大事にしたんですね。

 内藤 そうなんです。そこで事業部長のわたしや当時の技術、品質保証の責任者などが集められて、わたしは会長に、いろいろなクレームに関する対策の報告をしました。

 われわれ現場レベルでは、品質問題と言っても発生率というか、何十本とある中で問題になったのはこれくらいですという言い方をしたんですが、会長のご指摘は非常に厳しいものがありました。

 そもそも一本も問題を起こさないようにするというのが基本なんですが、不具合が発生してしまうのは仕方がないと。しかし、発生率が低いから仕方ないと済ましていい話ではなく、お客様目線で考えたら、一つでも製品に不具合があればクレームになるわけです。だから、お客様にとっては一つひとつの製品が大事なんだということを言っていただきました。

 ─ 顧客視点で直せということですね。

 内藤 はい。発生率ではなく、むしろ件数で考えろということですね。

 もう一つは、お客様からクレームが来た時に、現場ではどうしてもクレームを抑えようとして対症療法になりがちです。しかし、対症療法ばかりではモグラ叩きと一緒ですから、会長は本質的な原因を追究しろということを言っておられました。

 一件、一件のお客様が大事だということと、対症療法ではなく、本質的な原因の追及が優先されるということの二つは、今でも忘れられない言葉です。

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