サイバー攻撃に対処する法整備も必要
─ ウクライナ問題への対応や台湾有事への備えなど、戦後78年が経って、日本の安全保障・防衛のあり方を今一度議論するべき時に来ていると思います。小野寺さんは現状をどのように受け止めていますか。
小野寺 日本はもともと、専守防衛という考え方の中で防衛力を整備してきました。従来型の攻撃で日本が攻撃を受ける場合、例えば、どこかの国が爆撃機で日本を攻撃してくるとか、あるいは強力な軍艦が日本近海に出没し、日本の都市をミサイルや艦砲射撃で攻撃するとか、こういう従来型の攻撃に対しては、今まで十分な能力を持って対抗してきたと思います。
ところが、今は戦い方が大きく変わり、戦闘機や爆撃機、軍艦のようなもので攻めてくるのではなく、相手の領土から長距離のミサイル攻撃をしてくるような戦い方が普通になってきました。同時にサイバーで重要施設に侵入して電力を止めたり、レーダーシステムを壊したり、このように戦い方が大きく変わってしまったんですね。
残念ながら、こうした戦いに日本は十分対抗できていません。これを少しでもキャッチアップしようとしたのが、昨年末に決定した、防衛費の大幅な増額や反撃能力の保有などを盛り込んだ新たな「防衛3文書」ということになります。
─ 3文書とは、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3つですね。
小野寺 ええ。その中で、われわれは、相手の領土から攻撃してくるものに関して反撃をする反撃能力の保持を政府に決めていただきました。これがなければ日本が壊滅してしまうからでして、これは大きな決断だったと思います。
また、これからの議論になりますが、例えば、サイバー分野で日本が能力を持つためには国内の法整備も必要です。それを急いでやるということが大事だと思います。