2023-12-01

太陽ホールディングス・佐藤英志「エレクトロニクス分野で独自のポジション、医薬・エネルギーに事業多角化」

佐藤英志・太陽ホールディングス社長

太陽ホールディングスは、プリント基板の表面を覆い、回路パターンを保護する絶縁膜となるインキ「ソルダーレジスト」の世界シェアナンバーワン企業。

 プリント基板は多くの場面で使用されるが、一般的な基板は「低空飛行」が続く一方、自動車向けなどの高機能品は好調を維持している。

 また、半導体向けは「底を打った」と見ているが、メモリ(回路を電気的に制御することでデータを記憶・保持する装置)だけは厳しい状況が続くなど、需要はまだら模様。「本格的な回復は来年ではないか」と見る。

 環境変化の激しい中、2023年で設立70周年を迎えた。「これまでの70年はソルダーレジストがあったことで、いい環境の中で事業ができた。ただ、ソルダーレジストで勝てていない分野があり、今後10年で押さえていきたい。さらに次の目標は『脱ソルダーレジスト』」

 エレクトロニクス分野で新たな領域の開拓を目指す他、注力しているのが医療・医薬品。1つは新薬メーカーが手放した「長期収載品」(特許が切れていて後発医薬品が発売できるようになった先発医薬品)を承継、自社の生産技術や開発力を生かして、収益を改善する事業。

 他にも、CDMO(製剤開発も含めた医薬品開発製造受託)を手掛けており、「どちらの分野も伸ばしていける余地がある」。再生医療分野・遺伝子治療分野への展開も進める。

 それ以外にも植物工場、昆虫養殖などの食糧事業、溜池貯水池を利用した「水上設置型メガソーラー」設置によるエネルギー事業など、将来を見据えて事業の多角化を進めている。

 社員に自ら考え、行動できる「自律型人材」になって欲しいと訴えてきたが「少しずつ意識は変わってきている」と手応えを感じている。エレクトロニクスと医薬の人材交流も進む。

 今は「グローバル化学企業」を目指しているが、将来は「殻を破った当社の自律型人材が化学以外の事業を生み出し、全く別の会社になっているかもしれない」と期待を寄せる。

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