─ リクルートでもそういう工夫はしているんですか。
峰岸 はい。リクルートでも採用の仕事がありますが、長時間働くのは避けたいとか、毎日は嫌だというのがあるので、普通に募集しても集まりません。
ですから、普通に求人を出しても人は来ないけど、今の仕事をタスク分解することで、仕事を切り出していく。マルチタスクではなく、シングルタスクにすれば人は来ます。ですから、個別企業ごとに見れば、そうした事例はいろいろあるんです。
例えば、コンビニエンスストアは仕事内容が多いですよね。公共料金の支払い対応から商品の陳列やトイレなどの掃除まで、いろいろあるわけです。これも例えば、朝5時から7時まで掃除だけ切り出していくと、近所のシニアや主婦の方が来てくれたりするんです。
こうした事例を積み上げていって、業界全体がからんでいくというのが一つの解決策になるかと思います。
─ そうやって徐々にシニアの労働参加を増やしていくということですね。
峰岸 はい。ですから、65歳から75歳までの方々が約1500万人いらっしゃいますが、そのうち10%が働いてくれれば150万人、20%が働いてくれれば300万人になる。これは相当な労働力です。ここにDXで企業が生産性を向上していけば、相当のインパクトがあると思います。