若手時代に経験したこと
─ 今、オリックスの社員は国内外合わせて約3万5000人ですが、井上さんが入社した当時はどのくらいでしたか。
井上 約400人でした。そのうち一般職が200人でしたから、私の先輩は200人でした。「これなら意外と出世が早いかもしれない」と思っていましたが、中途採用でどんどん人が増えて、気がついたら2、3年で1000人になっていました。これでは一生出世は無理だなと思いましたね(笑)。
─ 会社が急成長したわけが仕事は面白かったですか。
井上 ええ。若手にもいろいろなことをやらせてくれましたから、勉強になりました。その意味では今の若手社員と比べて恵まれているかもしれません。
例えば、私は新人の時に船舶事業に配属されました。当時は海運不況の真っただ中の大変危機的な状況だったので、22~23歳の若手ながら、私の仕事の多くは船舶の差し押さえでした。
─ いろいろ大変なことはあったと思いますが、やり甲斐はあったと。
井上 その時はとにかくやるしかないという感じで、やり甲斐を考えたことはなかったですね。お客様のところに行って「また来たのか。お前の顔なんか見たくない」と言われても、「そう言わずに、ちょっとお願いしますよ」と何とか飛び込むうちに、営業を覚えることができたのかもしれません。