中西金属工業、京阪バスの実践
─ 企業、障害者、それぞれの意識を変える必要があると。
垣内 そうです。今、障害者が会社を辞める原因はミスマッチです。入社する会社が障害者のためにどこまで、何ができるかがわからないので、入ってから問題が起きて辞めてしまう。
その中で大阪の中西金属工業さんは「法定雇用率は3%、4%を達成して然るべき」として活動しておられます。何をしたかというと、例えば「工場の食堂は車椅子では上がれません」といった情報を全て、ウェブサイトで出しているんです。
「ここまで寄り添ってくれるのか」と感じて志望する人が増えますし、無理だと思う人は志望しませんから、ミスマッチも防ぐことができます。
大事なのは完璧な状態にしてから受け入れるのではなく、できていることも、できていないことも発信することです。中西金属工業さんの取り組みは大きな一歩です。
─ 共感の輪が広がっているのはありがたいですね。
垣内 そうなんです。私の講演を聞いて下さった方々が新たに行動を起こして、他の業界にも広がっているのは嬉しいことです。中には手が不自由な方がバスの整備士を志望したことがあったそうですが、どこも門前払いだったと。それが私の講演を聞いていた京阪バスさんが期待をかけて採用された。
すると、その整備士の方は高いパフォーマンスを発揮して、自動車整備の分野でも、身体障害のある方が働けることを証明したのです。
このように1人でも多くの方がチャレンジできる環境づくりに、今後も取り組んでいきます。