2024-05-09

GPIF理事長・宮園雅敬「公的年金という国民の将来基盤を支えるため、資産運用の高度化を進めていく」

宮園雅敬・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事長




ファンド選定はデータ駆使 勝てるチームを編成

 ─ 現在の基本ポートフォリオは国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に4分の1ずつ投資する形になっていますね。

 宮園 ええ。これは極めて精緻な計算でつくられたポートフォリオです。ただ、マーケットは常に動きますから、すぐにこのバランスは崩れるんです。それを放置すると、ポートフォリオで想定しているリターンをきちんと取ることができないということになります。

 市場は短期的にみれば、プラスマイナスどちらにもぶれるということです。常に動いている市場にできる限り、合わせていくというのは、200兆円以上も運用していると、決して簡単なことではないんです。

 日本株、外国株、国内外の債券はそれぞれ様々な要素で動きますし、為替の影響もあります。超多次元方程式を毎日解いているような状況です。まさに力仕事ですが、システムの力も借りて、できる限り迅速かつ効率化すべく取り組んでいます。

 そして我々は約160のファンドの運用を資産運用会社に委託していますが、それが今現在、どのようなパフォーマンスをしているかを見えるようにしておかなければなりません。23年度から、委託先ファンドの時価総額を前営業日ベースで把握するデータベースをGPIF内部で構築しました。これにより正確なポートフォリオの現状把握、見える化が可能になりました。

 見える化によって、どの資産をどう動かすかという判断が、より精緻に行えるようになりました。このポートフォリオの構成を調整する「リバランス」を検討する頻度を増やすことで、基本ポートフォリオが想定しているリターンをより精緻に取っていく。ここ数年、我々が熱心に取り組んできたことです。

 ─ 見える化した結果、ファンドの入れ替えもあるということですね。

 宮園 基本ポートフォリオ通りの収益を押さえた上で、市場平均を上回る超過利益を取っていくことも大事です。その可能性を高めるために、運用会社の成績を調べて委託していくわけですが、これまでは実績ある会社にお任せすることが多かったところ、今はデータを活用した選定を行い、できるだけ分散しています。

 それぞれの会社に得意技がありますから、できるだけ分散して、トータルで成果を得られるようにしようと。そのために数百という運用会社の成績表、野球でいえばスコアブックを集めて分析し、特徴を持った選手を選び、勝てるチームを編成していくということです。

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