2024-06-19

荻野明彦・大和証券グループ本社社長「バーチャルが増えるほど、人間はリアルを求める。信頼されるコンサルタントを目指す」

荻野明彦・大和証券グループ本社社長

「今の世の中は情報が氾濫しており、何が本当にいいものなのか、見極めるのが困難な時代」と話すのは大和証券グループ本社社長の荻野氏。コロナ禍を経て、世の中のデジタル化が進展、資産運用の世界でもネット証券が活況。しかし、「対面のニーズはなくならない」と荻野氏。より信頼できるコンサルタントへの相談は増えると見る。一方で、自社のスマートフォン特化型証券会社の使い勝手の強化にも余念がない。荻野氏が進める戦略の姿とは。


DXを活用して顧客の利便性を高める

 ─ 政府が「資産運用立国」を掲げ、2024年からは「新NISA(少額投資非課税制度)」も始まるなど、資産運用への注目が高まっています。その中での社長就任ですが、抱負を聞かせて下さい。

 荻野 お客様や株主・投資家の皆様から「大和証券が最も信頼できる」と思っていただける会社にしていきたいです。社長就任時の社内放送では、「お客様から大和が好きだと言ってもらえるような会社を目指そう」と社員に向けて話をしました。「大和が好きだということは、大和の社員のことが好きで、大和の社員を信頼しているということ。そう思われるような会社になるように頑張りましょう」というメッセージを込めて発信しました。

 ─ 非常に変化の激しい時で、時代の変わり目とも言えますがデジタル、ネットへの取り組みはどのような形で進めていきますか。

 荻野 従前からデジタル戦略を積極的に進めています。例えば、大和証券では昨年4月から全社員が生成AI(人工知能)の「ChatGPT」を使えるようにしました。なお、生成AIを使う以上、ガバナンスも必要です。ChatGPTを活用して得られた情報をお客様に提供する際には、必ず社員自身の目でも再確認するなど、フィルターをかけるというルールを整備しました。

 また、AIの開発や利用に関するガバナンス態勢の構築を目的に、グループ全体に適用する指針として「大和証券グループ AIガバナンス指針」を策定するとともに、 統制する機関である「グループAIガバナンス委員会」を設置しました。

 これまでの我々のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、社内手続きの効率化などを中心に進めてきました。確かに、お客様にとっても便利になった部分はあるかと思いますが、お客様目線で見た時には、まだまだ不十分です。何が便利になり、何が変わったのかを、お客様には十分にお伝えできておらず、新たな中期経営計画の期間では、これまで社内で培ってきたノウハウなどを、お客様にも感じていただける形にしていきたいと思っています。足元では子会社のFintertech(フィンターテック)において、お客様からの問い合わせに応対するAIオペレーターをこの4月から導入し、お客様からは好意的な反応をいただいております。今後は事業の中心である大和証券での活用についても検討しております。

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